現地ならではのおいしさを探して、ゆるゆると旅します

世界一周 めし旅

死の谷デスバレーに白昼焼かれる。

投稿日:

8月14日の月曜日。ラスベガス滞在中の中日を1日割いて、デスバレー/Death Valler に行ってきました。死の谷という名の通り、

そこは生命を拒絶する酷暑地獄。

水だけは切らしてはいかんと、大容量のペットボトルを何本も用意して、車で向かったのです。

※文中のレート換算はサンフランシスコで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1ドル($)=142.9円で記載しています。その後レートは更に悪化していくんですけどね(泣)


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まずはチケットを買いましょう。

ラスベガス・ダウンタウンにある宿を出たのが8:50。前夜も遅くまでカジノで熱闘を繰り広げたので、これでも頑張って早起きしたのです。

2時間ちょっと走ってデスバレー近辺に差し掛かります。デスバレーはアメリカの国立公園の中でも一番敷地面積が広いそうで、ある程度効率よく回る必要があります。入口も大きく2つあるのですが、ラスベガスから来るならデスヴァレー・ジャンクション/Death Valley Junction(↓の地図の場所)から西に折れる行き方が良さそうです。

問題はどこで入場チケットを買うのかよく分からないこと。とりあえずビジターセンター方面に行けば入場ゲートがあるのかと思い進んでいると、

道路脇き右側にトイレと小屋のある広めの駐車スペースを発見。トイレを済ませておこうと寄ったのですが、この奥の小屋の脇、

ここに入場チケットの券売機がありました。クレジットカードカード払い専用で、料金は車1台30$(4287円)。有効期限は6日後の購入時刻(よりちょっと後)だそうで、

そんな長く死の谷をウロウロするもんか!

1日券でいいからちょっと安くしてください思わないでもありません。因みに後で行ったビジターセンターでもチケットは買えたし、他の主要スポットにも券売機が置いてありました。どこで買っても良さそうですね。

因みにビジターセンターでこのチケットを見せると、デスバレーの地図が貰えるよと書いてあります。

※チケットを買ったのはこちら↓。

まずは入口に最も近い、ザブリスキー・ポイント/Zabriskie Point へ。

地図も欲しいし引き続きビジターセンターを目指して車を走らせます。

既にボソボソとした灌木以外は緑の無い景色。暫く走っていると、道の左側に車がたくさん停まっている場所がありました。ちょっと寄ってみましょう。

車を停めてGoogleマップを見てみると、ここはザブリスキー・ポイントという著名な展望スポットでした。人の流れにくっついて丘の方へ歩いていると看板が据えてあります。

HEAT KILLS !

なんとも直截な物言いですが、死にたくないからちゃんと読みましょう。謂く気温が上がりすぎるとヘリも飛ばせないよ。だから救助は何時間もかかりますよ。高気温の時は車の見える範囲に留まりなさいよ。特にどの辺が危ないよ。などと書かれています。ハイクするなら早朝にしろともありますね。

そう、この場所からはハイキングコースが延びていて、数キロの死の谷ウォークを楽しむことができるのですが、只今の時刻は11:30。

はい、もう手遅れですね!

正午に近いこの時間だと、車からこの看板までの数分だけでも、気力と体力は着実に削られていくのです。早くも手拭いをぐしょぐしょにしながら目の前の坂を登り切ると、

眼前にはゴツゴツと隆起した痛そうな景色が広がっています。

何というか、まるで大地の身肉が削げて、

骨格が剥き出しになったかのよう。

冷房の効いた車内との落差で頭がクラクラするのもあって、非現実感も尚一層です。

この辺りは何百万年も前に形造られた地形だそうでして、以前はここは湖だったとのこと。シルトという細かな白砂が溜まり、火山による溶岩石の黒色と層を成しているらしいです。

地震と火山、そして水の流れに削られて出来た地形。トルコのカッパドキアでも似たような話を聞いたけれど、こういう場所に来ると自然の壮大な働きを体感できます

ようやくビジターセンターです。

初っ端から暑さにやられ気味ですが、ようやくビジターセンターまでやってきました。

車も少し停めていただけで車内はかなりの暑さになっていますからね、館内の冷房がとてもありがたい。

中ではデスバレーの立体模型や土産物なんかも売っていて、

もちろん水やスポドリも置いてあります。水が1.25$(179円)とアメリカにしては良心価格なのも、

それが命に直結するからでしょうね。

向かって右側のカウンターに並んでチケットを見せると、上の写真の地図をくれました。チケットにはテープをくっつけて返されて、「フロントガラスに見えるように貼っておいて」とのこと。ところでこの地図がかなり優秀でして、主要スポットの写真と説明、所要時間に歩きの要否まで書いてあるのです。事前にちゃんと予習して来なかったので、これを見て今後の予定を決める事にします。

ビジターセンターには簡単な博物館のようなものも併設されていて、成り立ちや自然環境など諸々を学ぶことができます。そういえばデスバレーについて冒頭に「生命を拒絶する酷暑地獄」と書きましたが、

あれは嘘でしたね!

まあ気分的には今もそんな認識なのですが、実際はこの環境でもそれに適応した植物や動物がそれなりに住んでいるようです。

外には温度計も設置されていて、

なんと現在43℃!

後で行くバッドウォーターという場所はもっと気温が高いのでしょうから、気を引き締めないと熱中症くらいは簡単になってしまいそうです。

デビルズ・コーンフィールド/Devil’s Cornfield へ寄ってみる。

ビジターセンターを出た後はデスバレー観光の中心地帯から一旦離れて北へ進路を取り、30kmちょい離れたデビルズ・コーンフィールドという地味目なスポットへ行ってみました。

アロウウィードというこの植物がトウモロコシの収穫後の景色に似てるから、そして厳しすぎるこの環境が地獄を想わせる事から、悪魔のトウモロコシ畑という名前になったのだそう。

カチカチに乾いた地面。上からは灼熱の太陽にジリジリと身体を焼かれ、

ふと見上げると向こうには黒々とした山塊。想像力を働かせてみると、今にもその辺りに怪しい影が見えそうではあります。

なんて思っていたら、向こうのほうに怪しい柱が立ち上がっているじゃないですか。

あ、竜巻だっ!

よく見ると少しずつ動いているようで、こっちに来ないか慎重に観察します。

うん、大丈夫。こちらには向かっていませんね。たぶん来たとしても問題ない位の大きさだと思いますが、何せ竜巻は未経験ですから。

しまった、思ったより強かった!

では済まないですしね。これからも気をつけていきましょう。

メスキートフラット砂丘/Mesquite Flat Sand Dunes を覗き見る。

デビルズ・コーンフィールドからほど近く、少し西へ行った場所にメスキートフラット砂丘があります。

さっきはカチカチの地面だったのに、こっちは一面の砂漠地帯。ザブリスキー・ポイントは激しい岩場でしたしね、同じ公園内でも随分バリエーションに富んでいて、別府温泉とは別の意味で

さながら地獄巡りの様相です。

共通点は酷暑で極めて乾燥していること。

遠くまで歩いていってる強者も僅かにいますが、

少し歩いただけでも足を取られて体力の消耗が激しい。大容量ペットから水筒に移し替えた水が、たかが100m歩いただけでみるみる減っていきます。

よし、そろそろ車に戻ろうか。

完全にビビリの態勢で、車からあまり離れずヒット&アウェイ戦法で楽しむのです。

デスバレーの最低部、バッドウォーター・ベイシン/Badwater Basin。

来た道を引き返し、ビジターセンターを過ぎた所で今度は右に折れます。ビジターセンターからだとやはり30kmほど離れてあるのが、デスバレーでもトップクラスの見所スポット、バッドウォーター・ベイシンです。

各スポットは勿論ですが、移動中の景色もまた壮大。

駐車場に車を停めて、今回は持って行く水の量を増やして覚悟を決めます。バッドウォーター・ベイシンのベイシンは盆地の意味で、

なんとここは海抜マイナス855M !!

マイナスですから海面より1km近くも下に居るんですよ!855mも海を潜るって考えるだけで窒息しそうです。

駐車場からは真っ直ぐに白い道が延びていて、どこまでも歩いていけそうです。

盆地に出てすぐ右側には水たまり。湧水による池だそうですが、こんな環境で水があるのがとても不思議に感じます。そしてその先は、

広大な荒野に延々と伸びる真っ白な道。

実はここは昔は塩水湖だったそうで、バッドウォーター(悪い水)の由来もそこからきているとのこと。この白いのも全部塩なのだそうでして、そうなるとさっきの池の水も飲むには厳しそうですね。

ゴールドラッシュの時代に金鉱への近道をしようとデスバレーに迷い込んだ男たち。数週間彷徨った末にその殆どが亡くなってしまった。映画や物語にもなっている有名な話だそうですが、

まるで寒暑逆転の八甲田山みたい。

デスバレーでも最も気温が高くなるこの辺りでは、最高57℃まで観測されているそうです。彼らがこの渇いた大地で池を見つけて、それが塩水だったなら。どれだけ絶望したことだろう、そんなことも考えてしまいます。

暫く進むと他に人は殆ど居なくなり、若い男が足で何かを書いていました。

多くの人が落書きを残しているこの辺りが、通常の観光客が踏み入る到達点なのでしょうかね。もう少し進んでみたけれど、景色は延々変わらない。

白い道の端はボコボコとした大地が見渡す限り続いています。地図に出ていたデビルズ・ゴルフコースとはこの辺りでしょうか。さっきのトウモロコシ畑もそうですが、悪魔だって好き好んでこんな場所でゴルフなんてしませんよね。

人が歩いていない場所で、表面の白い塩を舐めてみました。

うん、それほど美味しくはないかも。

少し料理用に持って帰ろうかと思ったけれど、やめておきましょうね。

絶景隘路を走るアーティスツ・ドライブ/Artists Drive。

バッドウォーターの駐車場に戻り、改めて水分補給。暑さに耐えながら車のエンジンをかけて、中に入れる温度まで下がるのを待ちます。

ここから北へ13km、ビジターセンターへ戻る途中の右側に、アーティスツ・ドライブという道が分かれています。北に抜ける一方通行路なので、ここへはバッドウォーターの帰りに行くのが効率的。

ドライブに入ると、そこは岩の間を通り抜ける隘路。山あり谷あり、迫り出す岩ありで中々にスリリングです。油断できない道なので写真はあまりありませんが、

車窓からは雄大な景色を眺められます。この絶景路の先にあるのがアーティスツ・パレット/Artists Palette。自然の岩場がカラフルに染まり、とても美しい場所だそうなのですが、

行ってみると、あれ•••これの事?

Googleマップの投稿画像やネットで見た情報ではもう少し色鮮やかだったけど。もしかすると、酷暑の中荒野に分け入ると美しい景色が待っているのかもしれません。でもですね、

もうわたしのiPhoneは限界がきているのですよ。あまりの高温に過去見たことの無いメッセージが現れて、ウンともスンとも言わないのです。熱くなっているiPhoneを地肌に密着させて、

体温で温度を下げる始末です。

なんとか復活はしたものの、これ以上はiPhoneが危険。絶景探索は諦めて車に戻りました。

最後はダンテズビュー/Dante’s View で、上から死の谷を見下ろす。

アーティスツ・パレットからだと約50分、最後の立ち寄りスポットはダンテズビューです。

デスバレーの壮大な景色を見ながら来た道を引き返し、最初にチケットを買った場所の少し手前を南に折れます。坂をぐんぐん登ってダンテズビューに到着。

駐車場に車を停めて、高台の道を歩いていきます。

眼下にはデスバレーが一望。バッドウォーターで塩の道を歩いたけれど、上から見るとこんな事になっているんですね。

この丘の上の道もかなり先まで続いていて、ここ↑で終わりかと思ったらまだまだ先があるんですよね。高台なので暑さは多少和らぐものの、地味にアップダウンがあって、これまた体力を奪います。

キリがないので途中でやめて、道を逸れて谷に落ちていく断崖に出てみます。

お〜怖い。

断崖の真下には蟻地獄のような、クレーターのような、不思議な丸い穴が開いていて、

穴の底は地獄に通じてるに違いない。

上から見ても下から見ても恐ろしい。まさに死の谷のデスバレーなのでした。

車に戻るともう17:30に近く、ウォルマートで買い溜めしたプリングルス以外何も食べていない1日です。国立公園を出てデスバレー・ジャンクションを北に。大通りにぶつかった辺りで給油して、近くの店に入ります。

Googleマップで旨そうなハンバーガーがアップされていたこちらのお店。中に入るとよくあるガソリンスタンド併設のミニスーパーで、さらに奥に飲食施設が入っているようです。

客の居ないダイナーを覗いて「こんにちは、食事できますか?」と訊くと、「ごめんね、この時間はアイスだけなの」。これだけ暑さにやられると、欲するのはアイスより飲み物なんですよね。仕方ないのでダイエットコークのロング缶をぐびぐびと呷ります。

たぶん今世紀一番美味いコーラ!

頑張って、ラスベガスに帰ってからどかんと食べますか。冷房が行き渡った車内を楽しみながら、再び車を走らせました。


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