欧米には「主食という概念が無い」とは過去何度か聞いた話ですが、ヨーロッパで2か月近く過ごしていると舌と胃袋がそれを実感してきます。
1食がとても重いのですよ。
主食である米を食べる為のオカズと、あくまでそれ一皿で完結できる内容を整えたメインの一皿。ましてや土地の郷土料理を出す有名店なんて、その殆どがローカルが毎日通う店とは違う非日常の(それだけ1皿のインパクトが求められる)お店なのです。
そろそろ自炊して休ませないと、この先の未知のご飯をおいしく食べられません。そこでブダペストでは、キッチン充実のゲストハウスに5泊して、日本食や土地の素材を使って自炊することに決めたのでした。
※文中のレート換算はブダペストで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1Ft(フォリント)=0.41円で記載しています。
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ブダペスト中央市場にマンガリッツァが無い⁉︎
ブダペストを自炊拠点にしたのは偶然のタイミングもあるのですが、この中央市場があるのも大きな理由。昔から世界一周の旅人が、ここで美味しそうな肉を買って料理したり。そんなブログを見て何度羨ましく思い、涎を垂らしてきたでしょう。
そうそう、この大きな正面入口ですよ。
中は大きな体育館のような空間に2階建構造。
唐辛子がぶら下がり、
大量のパプリカパウダーがお土産に売られています。でもこの中央市場の本領はお土産だけではありません。
ハンガリーでとても良く食べられるサラミは、もう何がなんだか分からないくらい種類があって、
中でもこの写真↑の右手前、周りに白カビの付いたテーリサラーミ/Teliszalami というのが特に好まれているとのこと。
さすがに1本は多すぎるので、このように小分け売りしている店で買ってみましょう。
って間違えてTilzes szalamiというのを買ってしまいました∑(゚Д゚) 紛らわしい•••
110gで550Ft(226円)。まあ、これはこれで美味しそうです。どこかでテーリサラーミも買い直しましょうね。
市場にはいくつもの肉屋さんが軒を連ねていて、鶏屋さんに牛屋さん。
こちらはフォアグラ屋さんで、
もちろんお土産にできる缶詰フォアグラもたくさんあります。
その中でわたしが狙っているのはマンガリッツァ豚。ぜひ自分でも料理してみたいと、豚屋さんに聞いて回ったのですが、
マンガリッツァの生肉?無いよ。
「マンガリッツァならこれを買いなよ」とサラミばかり勧められます。ハンガリーの国宝豚、
マンガリッツァはどこへ行った⁉︎
おかしい、過去の旅人はここで容易くマンガリッツァをゲットしていた筈なのです。
東側の筋は青果店エリア。美味しそうな果物や、
つやっつやのジャガイモ。
おお!これがハンガリーの必須食材パプリカですね。
この薄い黄緑のが刻んでグヤーシュスープに入っていて、パプリカパウダーだけじゃなくフレッシュな風味が欠かせない印象でした。これも一つ買っておきましょう。
青果と反対側の一角で、美味しそうなパンを発見。これも一つずつ買ってみましょうか。
サラミと野菜少々。それにオヤツ用のパンもゲットして、市場の2階へご飯を食べに向かいます。
中央市場の2階は、お土産物と市場メシ!
階段で2階へと上がると、そこは市場を一望できる絶景スポット。市場マニアにとっては、どこぞの教会の塔より魅力的です。
市場メシの前にさっと2階を回ってみると、
小物雑貨のお土産物屋がずっと続いていますね。
ロシアっぽい。
たしかハンガリーでは、皮小物も人気カテゴリーなのです。
2階の東側はファストフード的な店が並ぶゾーンで、大量の人が群がっています。グヤーシュ専門店もあれば、
ワンプレート定食のような店、
この、揚げた生地に生野菜などの具材を山盛り乗せたものも人気なようでした。
北側は大きなレストラン。席に座って落ち着いて食べるならここですね。ひと通り見た上でわたしが選んだのは、北西の角の店。
トルコのロカンタみたいに、調理済みのお惣菜が並び指差しで買える小さな食堂です。
これはキャベツの詰め物ですか。
煮込み料理系が多いのも好ましいですね。
さっきのキャベツ料理を買ってきました。ハイテーブルが埋まってしまったので、脇の階段に座っていただきましょう。
プラスチックのナイフで切ると、中は挽肉と米。これはトルコ以来バルカン半島で食べてきた料理の流れですね。そうか、この料理はハンガリーまで届いていたのか。肝心の味はというと、米は粒立ちも良くておいしいのですが、
かなり塩気が強い労働者の味。
付け合わせの赤いザワークラウトのようなのは強い酸味でクリームで中和してやっと。ラフな味付けに「うんうん、こういうのも市場メシらしくて良いよね」と若干倒錯した喜びを覚えます。
もう1品はなんとなく気になったこれ。何かと聞いたら「ダンプリング!」と。食べてみると、小麦粉を練って茹で、塩とオイルで和えただけのような食べ物で、
まさに素朴の極致!
これも意外とおいしくてですね、「こんなの料理とも言えないようなの店で出していいのか?」と思いながらも頬が緩む。益々倒錯していくブダペストの市場メシなのでした。
日本食材が高すぎる!!
ブダペストには日本食を含むアジア食材の店があちこちにあって、ブダペスト中央市場のすぐ東隣にも比較的大きなお店があります。
トルコで買った現地米では満足できませんできたからね、今回は何としても日本のお米を手に入れたい!とまっしぐらにお米コーナーへ行くと、
お〜あきたこまち!!
でも2kgで10,800Ft(4428円)って、ちょいとべら棒じゃないですか。
寿司用の米として売っているこちらは1kg3360Ft(1378円)。ただ、品種も何も分からないのでちょっと不安ですね。
こちらは欧州産のコシヒカリだそうで1kg3750Ft(1538円)。コシヒカリ確定なのは安心材料だけど、やはり高いなあ。もう1軒、日本食材専門の店も行く予定なので、一旦見送りましょう。
マギーじゃなくて、日清のカップヌードルがある∑(゚Д゚) 。でも1080Ft(443円)はやはり高すぎやしませんか。
日本のカレーも恋しいのですが、小さなルーでも2250Ft(923円)。迷う•••迷うけど見送りです。それにしてもこれだけ高いと、ひと棚ごとに欲求と葛藤からの諦めを繰り返し、
ここは、なかなかの地獄ですよ。
異国で食べたくなる日本食というば蕎麦!やはり高くて一瞬諦めかけたけど、隅の方に900Ft(369円)のを見つけました。よし、蕎麦ゲット!
蕎麦といえば海苔が欲しい所。炊き立てご飯に醤油と海苔なんてのも堪りませんが、ヤバイ高すぎる。
煎餅なんかも恋しいこの頃ですが、1袋800円前後じゃ手が出ません。
結局買ったのは蕎麦と箸。トルコで白米を炊いた時、茶碗と箸の重要性を思い知りましたからね。茶碗は邪魔になるけど、箸くらいは持ち歩くことにしたのです。
もう1軒訪ねたのは、こちらの日和屋さん。
アジア食材じゃなくて日本食専門とのことで期待値高めで来てみたのですが、
あれ、ここは食材屋じゃなくレストラン?
中に入って聞いてみると、客席の後ろの壁が食材棚。食事をしなくても買い物だけできるようですが、狭い店内でゆっくり見る感じでもありませんね。それにしてもさすが日本専門、
うお〜赤いきつね!チキンラーメンも!
でもカップ麺1個が1000円とか…いやいや、まだそこまで餓えてはいませんよ。
肝心のお米は、さっきも見かけた欧州産コシヒカリ。でも値段は少し安くて1kg3250Ft(1333円)です。よし、この辺りで手を打ちますか。
米と蕎麦、パプリカにサラミ。脈絡の無い食材が揃ってきた所で、そろそろこれらを繋げる品書きを考えなくてはなりません。何も純和食を作りたい訳ではなくてですね、食べたいのは、
日本で食べてるような普通のご飯。
それも最低限の食材でシンプルなやつです。となると鍵になるのは長葱ですね。
ブダペストのスーパーでは、野菜は自分で計量してバーコード付きの値札を発行しなければなりません。買いたいものを秤に乗せて、商品棚のとこの番号を選ぶ。基本は単純なのですが、kg売りのと1個売りので微妙にややこしい。
困ってたら手伝ってくれた親切なお姉さん。でも彼女も間違えてべら棒に高い値札が出てきましたからね、やはりややこしいのです。お礼を言って見送ってから、自力でやり直しましたもん。
ところで野菜を買った普通のスーパーに、アジア食材店で見た日清のカップヌードルが売ってました。しかも値段はずいぶん安い。あちらは1080Ftだったのに、こっちは599Ft(246円)ですよ。
よし、買った!
やはりハンガリー、物価がチグハグで油断ならないのです。
シンプル旨い!異国で食べる日本のごはん。
宿のキッチンは広々充実してるとはいえ、2人同時に作業するスペースはありません。それに皆んな自炊といってもさほど時間のかからないものばかりで、入れ替わり立ち替わり譲り合って使っているのです。
そこに1時間もキッチンを占拠する人間がいたら、
ハナハダ迷惑極まりない。
そういう自覚はあるので、皆んな観光に出払った11時とか、観光を放り出したからこそ可能な気遣いで料理をさせていただきます。まずは米を洗って30分ほど浸水させ、
玉子は10個で400円くらいしたんですよ。高級品なのです。
浸水が終わったら水を切って、乾いていた時と同体積の水で炊きます。ジャガイモを水から茹でて、長葱、パプリカと合わせて味噌汁にしましょう。
間違えて買ったピリ辛サラミと目玉焼き。
サラミは料理の材料というよりも、主な役割はビールのおつまみです。なにせコーラよりビールのが安いお国柄。
料理中はビール片手が基本です!
ああ、なんて幸せな時間でしょうか。
初めての、しかも電磁加熱コンロで火力調整は怪しいですが、蒸らし終わって蓋を開けると、
ほわっと甘いお米の香り!
さすがコシヒカリ。少し焦げつきましたが、なかなかの炊き上がりですよ。今回のメニューは極めてシンプルなこちら。
出汁はホンダシ、味噌は粉末。日本では作るのには及ぶべくもないですが、
やはりコシヒカリは偉大です!
トルコやアルバニアで自炊した時と満足感が段違いですね。
半熟の黄身にお醤油をひと垂らしして、はぁ…旨すぎる。
別の日にはお蕎麦です。蕎麦だけじゃ寂しいから、長葱とパプリカのかき揚げを作りましょう。今回は油も買ってきましたからね。今後の旅は当面、
油のボトルを忍ばせていく覚悟です。
ゲストハウスのキッチンて油を置いてないとこの方が多いですが、自炊勢ってみんな油持ち歩いてるんですかね?しかもこの為だけに小麦粉まで買ったので、キャリーケースは一気に重たくなってしまいました(汗)
油の処理に困らないよう少なめの油で揚げ焼きですが、一応のかき揚げ蕎麦完成です!ツユは前日に醤油とホンダシ、砂糖少々を合わせて冷蔵庫に入れておいたもの。雰囲気は出ています。というか、こんなサッパリして美味いもの、
世界中どこにもありませんよね!
蕎麦は偉大なのです。
残り物はサラミと玉子の炊き込みご飯。
ちょっとマカオとかで食べられそうな雰囲気の料理じゃないですか。
執念のマンガリッツァ!
さて日本食系は良いとして、問題はマンガリッツァ豚です。最初の中央市場では買えなかったので、Googleマップで調べて郊外の肉屋さんまでやってきました。
店頭看板にマンガリッツァの文字があります。これは期待できそうと入ってみると、
マンガリッツァだと?無い無い!
マンガリッツァと聞いた途端に興味を無くした素っ気ない態度。しかも英語がほぼ通じないので、たまたま今日無いのかずっと入荷が無いのかも分かりません。
諦めきれずに再び中央市場。これで駄目なら諦めようと、今回は豚肉を扱う全店に聞き込みします。
「無いよ」「無い無い」基本はみんな素っ気ないのですが、少し英語を喋れるオジサンが教えてくれました。
マンガリッツァは餌を大量に食うんだ。その割に肉が取れない。だから生産が減ってるんだよ。
そこを国宝マーケティングで値段取れるブランドにしたと思っていたのですが、また生産が減っているのでしょうか。いい加減諦めかけたけど最後の店で、
マンガリッツァ?あるよ。
もしかして田中要次さんですか⁉︎ 救いの一言に喜んだものの、在庫は肩肉の2kgの塊のみ。そして売れるのはkg単位とのこと。「1kgと言っても食べられるのは半分もないからな」と言われてみればその通り。1kg当たり2500Ft(1025円)と安いのも、歩留まりの悪さを考慮に入れてという訳ですね。
よし、ならば1kg貰おうじゃないですか!買ってきたマンガリッツァ肩肉はこの通り、皮付きで分厚い皮下脂肪がついています。角煮と迷った末に、やはり素材を知るにはシンプルな方がいいだろうと、
フライパンで焼くことにしました。骨と余分な脂を切り落とし、皮を下にして弱めの火力でじっくりと。蓋をして30分以上かけて火を入れていきます。
ひっくり返して肉の方にも焼き目をつけたら、別で茹でておいたジャガイモに茹で玉子、ニンニクとローズマリーを合わせます。
いかにも素にしてラフな、材料の質任せな料理です。お味の方はどうかというと、前回書いたテンダーロインとはまた違い、
とてもサックリした歯切れの良い食感。
やはり普通の豚とは歯触りがぜんぜん違います。肉の味は濃く、通常より融点が低いという脂身もくどくなくておいしいです。たださすがに脂が多すぎて、実際食べられたのは1kgの内せいぜい200g。すると実際100g当たり500円くらいですか。うん、充分にそれ以上の値打ちはありますね。ついでに付け合わせのジャガイモがおいしくてですね、さすがジャガイモ大量消費国なのでした。
次回はブダペストからスロバキアの町コシツェへ。のんびりした小さな町で、快適なアパート型ホテルに滞在。さっそくスロバキアの国民食、羊乳のブリンザチーズを使ったハルシュキを食べてきました。予想以上のドカ食い漢メシに悶絶のコシツェ初日です!
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