7月12日の水曜日。翌日の朝イチにアイラ島を出るので実質最終日のこの日は、ラフロイグ蒸溜所のツアーを予約してあります。まずはホテルの朝ごはんをとレストランに降りて、注文したのは気になっていたTraditional Scottish Porridge, with Honey & Cream、つまりスコットランドのお粥ですね。トラディショナルのいう言葉に滅法弱いので頼んでみたのですが、蜂蜜とクリームと書いてはあるけど、
まさかどっぷり浸かっているとは思わないじゃないですか∑(゚Д゚)
ぐずぐずに柔らかく煮た麦粥にたっぷりの甘〜い蜂蜜が絡んで•••こ、これはキツい(泣)。よし、気を取り直していきましょう。
※イギリスの通貨のスターリング・ポンド(£)は、実際にこの旅中にグラスゴーのATMでセディナカードを使い引き出したレート、1£=182.6円で記載させていただきます。
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アポ無しでも気軽に立ち寄れそうなラフロイグ蒸溜所。
今日もローカルバスに乗り、ラフロイグ蒸溜所へ向かいます。ポートエレンの町からは約2.5km。初日に行ったラガヴーリンよりも手前なので、歩いても行けますね。
建物へ通じる通路を歩いていくと、
左の芝生に何かいますよ。
うさぎだ!!
かわいらしい姿に心和ませ、売店兼レセプションへ。ラフロイグもまた渋めのラインナップで色々欲しくなります。
受付でツアー予約の旨を告げると「出発の時間までそちらのミュージアムを観たり、ロビーでコーヒーを飲んでいてくださいね」と言われ、首から下げられるショットグラスを渡されました。
今回参加するのは “Uisge” という名前のピクニック・ランチツアー。12時スタートで4時間半、アイラ島の自然の中をピクニックして、着いた先でランチを食べるものだそうです。もちろんラフロイグのウイスキーが試飲で付いてくるのですが、
正直くわしい内容はよく分かりません。
でもウイスキーにまつわる話を聞きながらアイラ島の自然を堪能できるって楽しそうじゃないですか。料金は150£(27,390円)と安くはないのですが、せっかくのアイラ島なので申し込んでみたのです。
待ち時間にとりあえずミュージアムの方へ行ってみると、ひと部屋だけのコンパクトなもの。
ラフロイグ蒸溜所の歴史がまとめられたものがありますね。創業者一族に増して興味深いのが、こちらのベッシーさんという女性。ある夏にたまたまアイラ島へヴァカンス旅行に来て、臨時秘書募集の話を聞いて申し込んだのだそう。
それがそのまま居続けになり、秘書から蒸溜技術者へ転身し、女性初の蒸溜責任者に。そして最後は先代の遺言で、オーナー経営者にまでなったのだそう。
なんというか、ドラマ1本書けそうですね。
ラフロイグの歴史だけじゃなく、アイラ島のウイスキー造りについても簡潔で分かりやすい説明があり、例えばこちらはピート(泥炭)の話。
Google翻訳を使うとこんな感じです。なるほどなるほど。分かりやすくて良いですね。
ロビーのような休憩スペースにいくと、コーヒー紅茶は無料サービス。なかなかに居心地が良いのです。
ピクニック・ツアー前に、軽く蒸溜所見学から。
時間になって受付へ行ってみると、先ほどのミュージアムに集合してくださいとのこと。さて今回はピクニックして皆んなでお昼を食べるんですからね、
同行グループの面子はとても大事!
もし愛想が悪いメンバーだったら、4時間半が苦痛になりかねません。こういう所はソロ参加の弱みですね。
こちらが本日のガイドのお兄さん。最初に彼から参加者の名前と国名を確認し、その流れで参加者同士の紹介をする感じなのですが、なんとそこには
例の自由過ぎるレバノン人の4人組!
アードベックで一緒だった彼らです。再開を喜び、他はカリフォルニアからの3人組で計8人。まずは1杯試飲するところからツアー開始です。
最初の1杯はスタンダードとも言える、ラフロイグ10年。
くはぁ、旨い。
スモーキーさが堪りません。
ガイドさんの話はラフロイグやアイラ島のウイスキー造りの歴史について。ウイスキー造りは税金との闘いでもあった訳で、その話がかなり長く続くのですが、まあ半分も聞き取れませんよね(泣)。レバノン人の皆んなは相変わらず自由度全開で、勝手に離れてウロウロしたり、関係のない質問を始めたり。それを見て呆れてるアメリカ人と、何とか話を戻そうとするガイド氏。
昨日と同じくなかなか笑える光景です。
でも呆れてるアメリカ人も最後は仲良くなるのだから、愛嬌というのはズルいものです。
場所を移して、歴史の次は製造の解説。まずはピートの話からです。
こうやって掘り出してるんだそうで、やっぱこんな感じの湿った野原はそこら中にありますもんね。ピートは潤沢にあるというのは、やはり正しいようです。
そのピートが野積みされている倉庫。大量にあるピートを見た自由すぎるレバノン人御一行は、
ねえ、ピートお土産に貰えない?
何でも言ってみるもので、ほんとに後で貰えることになりました。
「あなたもいる?」と訊かれてつい頷いたけど、土を持って国際線に乗るのかなり面倒なことになりそうです•••。
ポットスチルを見ながら蒸溜の話を聞いたら、いよいよピクニックの時間。
コーヒー飲んで待っていると「準備できたよ」と一人一人に小さなリュックを渡されました。
脇に付いているウォーターボトルは、さっき売店で欲しかったやつだ。
水筒も終わったら持って帰っていいですよ。
マジすか、これは嬉しい。
たぶん仕込み水と同じお水を水筒に詰めて、ピクニックに出発です!
寒い!楽しい!ウイスキー・ピクニック。
蒸溜所を出て道を渡り、向かいの施錠された敷地はラフロイグのものだそう。「そんなに遠くないからね」と言うだけで、どれだけ歩くのかもよく分かりません。
もしかして意外とハードだったりしてと、少し不安になりかけたけれど心配は一瞬で吹き飛びました。
敷地に入るやいなや「ちょっと待ってね」と自分のカバンをゴソゴソするガイド氏。
取り出したるは、これまた希少そうなシングルカスク物。バーボン樽で8年、シェリー樽で10年熟成させた、ダブル・マチュアードのものです。パワフルたけど尖った所がまるでなくて、
これは旨い!!!
何よりウイスキーを飲みながら歩くって、こんなシチュエーションなかなか無いですもんね。
ツマミ代わりにアイラ島の景色!
これだけで顔がニヤけてしまうくらい楽しいのです。ただ風は冷たく小雨もパラついてきて、
重ね着をしてもかなり寒い!
めいめい上着やウインドブレーカーを羽織っているのに、唯一半袖Tシャツのガイド氏。
いやぁ、これでもアイラ島的には夏真っ盛りって感じだからね。
アイラの冬はどれだけ過酷なんでしょうね。
ゆっくり歩いて30分弱。丘の向こうを流れる川までやってきました。今はもう違うけど、昔はここから仕込み水を引いていたのだそう。なるほど、やっぱり水が茶色っぽいですね。
川の脇を降りた所がピクニック・ランチの場所でした。お昼ご飯に合わせるかのように雨が強まってきたけど、本降りというほどではありません。
それぞれのリュックの中にはランチセットが入っていて、サンドイッチとかチーズとか甘い物だとか。
食事のお供はもちろんウイスキー。ラフロイグ・ロアのLOREは伝承という意味だそうで、創業から培ってきた技術や精神を次世代に伝えるという心意気のウイスキー。ナッツのニュアンスや甘やかさもあり、
クリーミィで濃厚で美味しい。
とはいえ雨の中の野外ごはん。さすがに皆さん口数少なめです。
冷えたカラダに保温ポットのスープが嬉しいのです。
お昼を食べ終えて帰り出す時に雨が上がり、誰かとてつもない雨男がいるんじゃないでしょうか。
入ってきた舗装道路までもうすぐという所で再びの試飲タイム。
カーディス・ウェアハウス1という、これまた希少なやつだそうです。
塩のニュアンスにキャラメルっぽい甘さ。個性的だけどとてもバランスが良いですね。さて、そろそろピクニックは終了だというのに、レバノン4人組のうち3名ほどがいなくなっています。
1人発見。
これは何もテンション上がって野原に飛び出したのではないのですね。売店でラフロイグを買うとFriend of Laphroug というのに入れて、ラフロイグの敷地内にほんの小さな土地を貰えるのだとか。
これ↑ですね。緯度経度が送られてくるので、自分の土地を見つけてそこで記念撮影をしようとしているのです。
うん、全然帰って来ませんね(笑)
ほらほらもう時間ですよ〜。
選んだ樽汲みウイスキーがお土産に!!
ピクニックから帰ってきてこれで終了なのかと思ったけど、まだ解散時間には早いですよね。
40分間の長い休憩があってこの後どうするのかと思ったら、ウェアハウス(樽貯蔵庫)に案内してくれるではありませんか。
柵ごしだけど、樽が並んでるのが見えてテンションが上がります。
うんうん、美味しくなるんだよ。
ここで先ほどリクエストしていたピートのお土産が配布されます。可能ならカナダのキャンプ場まで持っていって、これで釣った魚をスモークしたい所ですが、
まあ絶対に通関で面倒なことになりますね。
後でちょっと燃やしてみたりして楽しんで、結局ロンドンで諦めて置いてきたのですが、布のバッグだけでも良いお土産です。
さてこちらのウェアハウスでも、どうやら試飲をさせてくれるようです。既にウイスキーを4ショット飲んでほろ酔いだけど、あと3杯。
がんばって飲むしかないですね。
一番右の樽はカスクNo.4797。2016年に仕込んだ7年物で、アルコール度数は58.1%です。
バーボン新樽熟成らしい華やかさで、最初はズンとあたりが強いけれど暴れるような荒さはありません。軽やかで静かに燃えるような余韻がとても心地よい。
これ、とても好きな感じです。
真ん中のはフレンチオークの新樽で熟成した7年物。フルーティでバニラっぽいニュアンスもありますね。
おいしいけれど、少し粗さも気になります。
最後は左の樽。リチャーされたシェリーカスクと言ってたので、古樽に火を当てて焦がしてから使っているのでしょうか。色々工夫しているのですね。
トフィー(キャラメルに似たイギリスのお菓子)っぽいニュアンスがあるけど、甘さはなくてドライな飲み口。これもかなり好きな味です。
ひと通り試飲が終わって充分に楽しめたと満足していたのですが、ここでガイド氏から、
じゃあ好きなの1つ選んでください。
なんと選んだ1つを200mlのボトルに自分で詰めて、それもお土産にくれると言うのです。
しかもボトルタグを自分で書いて、
それをラフロイグの台帳にも記載して、
自分だけのボトルNo.を登録してくれるというのですから、これは堪りません!
3万円弱の参加料は高いなあと思っていたけれど、これは充分もとを取れているような気がします。
ボトルは割れないように受付でラッピングしてくれて、すっかり良い心地になってツアーは解散。レバノン人御一行ともお別れして、さてここからは歩いて帰りましょう。
アイラ島の蟹と鹿、贅沢ディナーでアイラ島を締め括る。
ピクニックに出かける時にガイド氏が言っていたのですが、ラフロイグの目の前の林にはよく野生の鹿が出るのだとか。
そういえばホテルレストランのメニューにアイラ島の鹿が載っていましたよね。
同じくアイラ島の羊とどちらを食べようか、幸せな妄想を膨らませながらポートエレンの町を目指して歩きます。
不思議な花とか、
馬とか羊とか。
うーむ、やはり羊も捨てがたい。
などと考えていたら、通りかかった牧場でメェメェ苦しそうに鳴く羊の声が聞こえます。どうやらフェンスの網から抜けなくなってしまったようです。
おーい、なんか引っかかってるよ〜。
向こうにいた人に声をかけたので、何とかしてくれるでしょう。こうなると少し忍びないですから、やはり夕飯は鹿ですかね。
酔いをさましながらゆっくり歩き、ホテルへ到着。ほどよく酔いもさめてお腹も空いて、良い感じです。
3日間だけの短い滞在だったけど、ちょっと贅沢なツアーに参加したのもあって期待以上に満足できる内容でした。
よし、贅沢ついでだ。
最後のご飯も豪勢にいっちゃおうかと、まずはビール。今日はたくさんウイスキーを飲みましたからね、最後はアイラ産のIslay Craft Lager を1パイント。
注文を済ますとまずはパンが出てきて、これは一昨日のとはまた違うやつですね。うん、うまい。
前菜に頼んだのはLocal White Crab Meatで12£(2191円)。2000円超えの前菜とか金銭感覚がだいぶ壊れてきていますが、蟹もアイラ島産だし、
ムール貝なんてピートで燻してるんですよ!
アイラ島の海のハーブというのも使っていて、キャビアが脇役なくらいアイラ島全開の一皿。
毛蟹みたいな細かい繊維の蟹肉は毛蟹より淡白だけど、蟹味噌のコクが加わってとても美味しい。たっぷりの蟹肉にとても贅沢な気分になれるし、何よりピートでスモークしたムール貝が、
やばいくらい美味しい!!
メインは事前シミュレーションの通り鹿肉料理、Islay Vension & Stornoway Fruit Pudding Pie 16£(2922円)です。少し野趣を感じる鹿肉はホロホロに柔らかく煮込まれて、野菜も味が濃くておいしいのです。
そして付け合わせのマッシュポテトもピートで燻製にしたやつでこれが鹿肉から、
主役を奪うくらいの絶品でした。
よくある燻製よりなお一層複雑で、玄妙な味に感じます。一昨日のウイスキーソースといい、料理でもアイラ島らしさをフル満喫できて、旅心も満たされまくり。アイラ島ほんとうに来て良かったです。
次回は朝イチにアイラ島を発って再びグラスゴーで1泊。その翌日にエディンバラまで鉄道移動したあたりまで書きたいと思います。
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