のろのろと書き進めていたアメリカ横断レンタカー旅もいよいよ最終局面。2023年9月25日のこの日は、ボルチモアを発ちアトランティックシティへ移動します。アトランティックシティで1泊したら、その翌日はいよいよフィラデルフィアでレンタカーを返却するのです。いくつかある今回の横断旅のテーマの中でも一番手、「本場のソウルフードを堪能する」はそこそこ満足できる結果になったけど、一つだけ心残りがありました。それは本来ソウルフードで重要な位置を閉めていたはずの、内臓料理を殆ど食べていないこと。レバーは一度食べられたものの、チタリングス/Chitterlings もしくはチトリンズ/Chitlins という豚腸の料理を、どこも扱っていなかったのです。ほぼ諦めかけていた最後の最後、
ここボルチモアでやっと見つけました!
前回の記事で書いたクラブケーキの2軒目 FAIDLEY’S で食べ終わった後から、今回の記事のスタートです。
※文中のレート換算はサンフランシスコで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1ドル($)=142.9円で記載しています。その後レートは更に悪化していくんですけどね(泣)
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漸く邂逅したチタリングス、果たしてそのお味は•••!?
FAIDLEY’S でクラブケーキを食べ終えたのが10:20頃。アトランティックシティの到着時間を考えると、さくっとチタリングスを食べて午前中にはここを出たいところです。両店の場所は100mくらいしか離れていなくてすぐハシゴ可能なのですが、いやいやちょっとムリですって!
今ものすごく満腹なんですから∑(゚Д゚)。
アメリカサイズの1食分ですからね、蟹と付け合わせのポテトで胃袋はミッチリですよ。
そこで立ち寄ったのが、1軒目の店の並びにあるレキシントン・マーケット。1782年から続く歴史ある食品市場で、生鮮品から惣菜、お菓子、飲食店も入っていて食事もできる場所なのだそう。
市場巡りはいつだって旅のファーストチョイスですからね!
食休みに市場見学するのに、美味しそうなの見つけたらどうしよう。困っちゃうなー(デレ)と喜び勇んで中へ入ってみると、
ん、あれ?
まだ開いてない店や改装中の区画もあって、なんだかイマイチ活気がありません。
1階と地下の2フロアあるけど規模自体もさほど大きくなくて、なにより食べ物市場的な空気感が微塵もありません。
ちょっと違う期待をしてしまっていたけれど、これはアメリカのどこにでもある食テーマの商業施設ですね。
ふーむ。
ほほう。
ふーん。弱ったな、ぜんぜん時間を潰せなかった•••。
10分ほどでマーケットを出てしまい、途方に暮れてグーグルmap を眺めます。おっ、すぐ近くにポーのお墓というのがあるようですよ。ちょっと行ってみましょうか。
歴史あるボルチモアの町なので、煉瓦の建物に緑が映えて綺麗ですね。
こちらがかの有名なエドガー・アラン・ポーさんのお墓。世界初の推理小説「モルグ街の殺人」などを残した文学界の巨匠ですが残念なことに、
わたくし1作も読んだことありません。
ちなみに江戸川乱歩も読んだことないので、お墓を見ても感慨はパーフェクゼロ。なるほど、そういうもんなんだねえ。
いよいよ時間潰しのネタは尽き、見切り発車でチタリングスを買いに来てみました。こちらのAngie’s Soul Food & BBQは持ち帰り専門で、中では飲食できないお店です。
店内に入ると惣菜のショーケースが並んでいます。メニューボードを見てもチタリングスが見当たらず少し焦ったのですが、
あったあった、こっちですね。Sサイズが8オンス=226.8gで15$(2144円)と、そこそこのお値段。他にもHog Maw、つまり豚の胃袋(ガツ)の煮込みや豚足なんかもあって心惹かれます。
右手前のがHog Maw で、奥のピンボケしてるのがチタリングスでしょうかね。左手に出来ていた列に並び注文をすると、
それはそっち(右)で注文して!
と強い口調で言われてしまいました。ちっちゃい店の中で別々の営業になっているようです。右手のショーケースから奥のおばちゃんに声をかけると、こっちはホッコリ穏やかな人でよかったよかった。チタリングスのSと、サイドメニューにコラードグリーンを頼んで計18.5$(2644円)です。
レキシントン・マーケットの屋外ベンチ(テーブルもついている)に持ってきて、とりあえず袋から出してみたのですが、
うーんどうしよう•••。
時刻は10:50、まだ1ミリもお腹が空いていないのです。長らく焦がれた相手なのに、食欲がまったく湧いてこない。温かいうちに食べてあげたいけれど、いま食べても美味しく感じないんじゃないか。でも後で食べるんじゃあ味が落ちちゃうかもしれないし、これはどっちを選ぶも苦渋の選択ですよ•••。チタリングスさんに対しとても失礼な状況を作ってしまったと、今さらながら罪悪感にかられ蓋付き容器をじっと見つめます。失礼はもう取り返しがききません。ならば真摯に一歩でも前へ進むべき。
よし、匂いを嗅いでみよう。
モツ料理大好きだけど、異国で初めて食べるモツ料理には、やはり幾許かの緊張を伴います。ある国では完全に(腸の中に入っていた)アレの匂いでむせ返った経験もありますからね。満腹だからと躊躇していた理由には、この点も含まれている訳です。ここの店のチタリングスはどうかと鼻を近づけると、うんモツらしい香りはあるけど穏やかなもの。身体が拒否反応を示すことはありません。ならば食べられるだけでも食べてみるかと一切れを口に。•••うん•••アレの匂いは•••••••••
ある。
あるけれどこの程度ならわたし的にはギリ許容範囲内、日本のもつ焼き屋でもあるレベルです。
そしてその匂いが些細に感じられるほど、良い加減の煮汁がたっぷりモツに染み入っているのです。酢とホットソースに付けると、味に深みとキレが増して、匂いも更に気にならなくなりますし、さらに驚いたのはその食感。
なんだこの官能的な柔らかさは⁉︎
ふわりとして、頼りなげで心地よい弾力。いつまでも口の中に入れておきたいくらいです••••••匂いさえなければね。過去経験のない豚腸の食感に魅了され、他の店のチタリングスもぜひ食べ比べてみたい。でも他に売ってる店が見つからないのだからしようがない。かくしてチタリングスは魅惑的な謎を残し、わたしの心の中に留め置かれたのでした。
アトランティックシティよそれでいいのか。
完全満腹にも関わらず、驚きの美味しさと食感(と匂い)を堪能できて、万全の構えでチタリングスに挑めなかった罪悪感も払拭。「残りは途中休憩で食べようか」と片付けをして車に戻ります。駐車代を払い、いざアトランティックシティへ。レンタカー返却をするフィラデルフィアはボルチモアから約180km。そしてアトランティックシティはフィラデルフィアから更に70kmほど走った海岸沿いにあります。つまりゴールのフィラデルフィアを通り過ぎてしまうのですが、そこは西のラスベガスに対する東のアトランティックシティ。カジノを中心に据えた一大レジャー都市として有名で、一度くらいは見てみたい。
実はけっこう寂れてるよ。
という噂は聞いていたのですが、ちょうどスケジュールが1泊余ったし、こんな機会じゃないと行かないからねと最後の宿泊地に選んだのでした。
途中休憩しながら到着したのが16時半過ぎ。宿の駐車場に停めて撮った写真がこちらです。噂以上に寂れた感じがするのは、きっと安めのモーテルを選んだからでしょう。
立地的にはカジノが並ぶ目抜通りの裏っかわ。歩いて5分程度の場所なのですが、その短い歩きが怖く感じるやさぐれた雰囲気です。
宿泊したのはSuper 8 by Wyndham Atlantic City。1泊8037円と、今回のアメリカ横断を通して個室では最安値圏だけど、
古くて臭くて荒んでて•••
質のほうも最低レベルでした。1泊で助かりました。
気を取り直して目抜通りへ。ボードウォークと呼ばれる海沿いのこの通りが、アトランティックシティの中心街。大型カジノやショップ、レストランなどが立ち並んでいます。
月曜だし曇天だし、仕方がないのかもしれませんが、
なにこの寂寥感。
連日お祭り騒ぎのラスベガスと比べるどころかまさに対極。結婚披露宴とお葬式くらいの隔たりがありますよ。なんかバブル崩壊後のリゾート温泉地を思い出しちゃいますね。
西海岸のサンタモニカビーチとは真逆の、俳句でもひねりたくなる風情のビーチ。
鳥を眺めて暫したそがれます。
海に突き出したレジャー施設があるので入ってみましょう。
クレーンゲーム独り占め。
なんかアメリカっぽいシューティングゲームがありますね。
ペイントボールを撃てるようでちょっと面白そうなのですが、
客どころか係員もいないですね(泣)
レストランも閉まってる店が多くて、月曜のアトランティックシティは完全にやる気を無くしているようでございます。
カジノで食べる絶品サンドイッチ!
歩いてるだけで精気が抜けてしまいそうなので、早々にカジノに入ってひと勝負することにします。
多少の人の出入りがあるハードロックのカジノを覗いてみると、
おお、まばらだけど外よりは人がいる。
ゲームエリアは撮影禁止だと思うので、写真はここまで。アメリカのカジノで主流のブラックジャックでひと勝負です。2時間くらい遊んだでしょうか。50$ほど浮いたところでささっと手仕舞いします。普段なら多少浮いてくるとテンション上がって大きく勝負しにいくところ。なのにアトランティックシティでは、冷静さが微塵も揺るがないのですね。
それでいいのかアトランティックシティよ。
もう少しカジノの興奮を味あわせてくれませんか。
とても健全なカジノ遊びを終えて、晩ごはんは面倒だからカジノで食べちゃいましょう。割高なのは覚悟の上で、手軽な店を探して隣のカジノまでやって来ました。リゾーツ・カジノ・ホテル・アトランティックシティの中にあるOriginal Soup Man というお店。一応Googleマップで見ると近隣にも数軒あって、閉店してるとこもあるから傾きかけのチェーンなのでしょうか。口コミ評判も決して高くはなくて、でももういいんです。
寂れたレストランで高いカネ払うよりマシ!
というすこぶるネガティブな理由でここに決めました。
ニュー・イングランド・クラムチャウダー8.99$(1285円税別)は貝(たぶんホンビノス貝)の風味がふわりと効いて、
おっ、思ったよりちゃんとしてるぞ!
併せて頼んだのはHOT-ROAST PORK SMOKED PROVOLONE CHEESE というサンドイッチ10.99$(1570円税別)です。「あったかいものが食べられればいいや」くらいの気持ちでまったく期待してなかったのですが、
これが旨すぎて倒れるかと思いました!
チーズもたっぷり絡んでいます
柔らかく風味豊かなローストポークがたっぷり。そこにミルキーなチーズがとろりと絡んでいます。緑色のはブロッコリーラーブ/Broccoli Rabe という菜花に似た野菜。クッキリとした苦味が全体の味を引き締めて、とても奥行きのある美味しさを生み出しているのですね。
さすがサンドイッチ大国アメリカ!
何気ない所で食べるサンドイッチが、めちゃくちゃレベル高かったりするんですよね。
50日間のアメリカ横断レンタカー旅もいよいよ明日で終了。最後の夜にアトランティックシティを選んで、実はだいぶ後悔していた所ですが、最後に逆転クリーンヒットです。ソウルフードやニューオーリンズのケイジャン/クレオール料理など、土地々々の美味しいものを食べてきた今回の旅で、最後にアメリカ食文化のど真ん中であるサンドイッチの美味しさを改めて実感することになりました。
※アメリカではパンに具材を挟んだものは全部サンドイッチ。サブウェイみたいなこういう長いのもサンドイッチです。ハンバーガーもサンドイッチの一種ですが、バンズに牛肉パテを挟んだものだけをハンバーガーとして別枠に捉えていて、逆に日本のチキンバーガーみたいなのはハンバーガーではないサンドイッチの扱いになります。
あまりにサンドイッチが美味しかったので、帰りがけ追加でパストラミサンドをテイクアウトしたのですが、
そっちは極めて普通の味でした。
さて次回はアトランティックシティを出発し、ドライブ旅のゴール地点フィラデルフィアへ。フィラデルフィアグルメと云えば有名なのはフィラデルフィア・チーズステーキ。途中で寄った郊外の名店と、町中の人気店2軒をご紹介します!
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