6月13日の火曜日。プルゼニ2日目のこの日は、楽しみにしていたピルスナー・ウルケルの工場見学です。ピルスナービールは今や世界のビールの主流中の主流。一番搾りなど日本の大手ブランドはもちろん、バドワイザーもハイネケンも皆んなピルスナー。つまりピルスナー・ウルケルは、
ビール好きの大半の人にとって大恩人!
ビールに関わり20年飯を食わせてもらった身としては、足を向けては寝られないのです。例えピルスナー・ウルケルが買収されて、かつてののライバル、アサヒグループになってしまったとしてもです…(心境複雑)
注:ピルスナー・ウルケル社は買収されて現在はアサヒビールのグループ会社になります。
※文中のレート換算はプラハで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1Kč(チェコ・コルナ)=6.4円で記載しています。
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受付と出発ロビー
ピルスナー・ウルケルの工場見学は公式予約HP(→こちら)から予約できます。見学するには工場が主催しているツアーに参加するしかなく、所要時間110分で380Kč(2432円)。対応言語はチェコ語・英語・ドイツ語で、英語のツアーは1日2回しかありません。
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ネットで予約すると上のようなチケットが送られてきました。
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町の中心部から醸造所までは約1km。歩いて向かいます。
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特にチェックとかもなく、立派な門をくぐるとそこはもうピルスナー・ウルケル醸造所。
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煙突と真正面の塔が印象的ですね。
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案内図をもとに1番のビジターセンターまで歩いていきます。
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途中トイレも済ませて準備万端。とはいえまだ少し早いのですが、
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ビジターセンターの中は昔の醸造風景を再現した模型が展示されていて、
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これを見てるだけでも結構楽しい。
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受付で電子チケットを見せると、こちらの紙のチケットに交換してくれました。「時間まで待っていてくださいね」とのこと。
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モニターでは樽作りのビデオも流していました。あれ、もしかして今でもここで樽を自家製しているんですかね。だとすると凄いことなんですが、
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繰り返される動画は毎回違う言語の字幕がついて、日本語バージョンもありました。日本字幕をもうちょっと見たいのですがもう時間です。呼び出しがあり、ここからツアーが始まります!
パッケージから原材料
ツアーの最初はピルスナービールとピルスナー・ウルケルの歴史の説明。いつものようにこのブログでは、詳細な解説とかはドンドンすっ飛ばしていきます。ぜひ皆さんも、
ポテチ片手に尻掻きながら読み流す感じでお願いします。
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これは1842年、創業当時のピルスナー・ウルケル。なんでも従来のやり方でビールを造っていて大失敗をしたらしく、
こりゃもう、本気で一からやり直そう!
とミュンヘンから醸造技師を呼んできたのだそう。それがピルスナービールを産み出すきっかけになったんだそうですよ。
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これは給水塔の図面ですね。来た時に正面に見えていた、かっこいい塔が給水塔だったようです。
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簡単な歴史の話が終わると、ビジターセンターを出てバスに乗り込みます。
お〜かっこいい!
丸ごとラッピングで気分も盛り上がるというものです。
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バスは5分も乗らずに給水塔の前で停車。ここから降りてパッケージングエリアの見学に向かいます。
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建物に入り、ひとしきり説明を受けてから2階へ。
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ほほお〜。配管ウネウネで楽しいですが、この辺は日本のビール工場とさほど変わらない気がしますね。
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瓶や缶などに高速でビールが詰められていきます。このパッケージングエリア内にパスティライザー、つまり加熱殺菌の機械も入っていて、殺菌してすぐ詰めるようです。
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パッケージングエリアの次は、ミニシアター。イメージビデオに加えて創建当時のお話を流しているのでしょうか。
「ムム、これはすごい物ができたぞ」
とか言ってるんでしょうかね。
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続いては原材料コーナー。砂浜のように敷かれた大麦の手前にそのままの大麦と、それを発芽させた麦芽が用意されています。
もちろん食べてもOK!
発芽させてからローストした麦芽って、香ばしくて噛むと甘みが出て美味しいんですよね。いいオツマミになります。
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水もビールにとってはとても重要。特にピルスナービールには水の柔らかさがとても大切なのですね。ドイツをはじめヨーロッパは硬水も多いのですが、プルゼニの水は軟水。もしプルゼニの水が軟水じゃなかったら、
ピルスナービールは生まれなかったかも!
なのです。
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チェコといえばザーツ産など高品質なホップの産地。これも試食させてもらえますけど、
うへぇ〜苦い。
日本でもクラフトビールの動きと連動しながら、岩手県遠野のホップ作りとか活発になっていますよね。ホップ畑で飲むビールとかもう格別なので、ビール好きな人は遠野にGOです。ほんとは余裕があれば、今回ザーツにも行ってみたかったのです。
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これはたしか、ピルスナー・ウルケルのオリジナル酵母。さて、麦芽に水にホップと酵母。ビールの原材料がこれで出揃いました。
糖化釜がかっこいい!
原材料の次は麦芽の糖化工程。案内されて部屋に入ると、
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もうズラリと糖化釜が並んでいます。
おおお〜壮観!
覗き込んだり触ったりできるので、これは見学用なのでしょうね。上下2階構造になっていて、一部を下の釜に移して加熱して、それを戻してというのを3回繰り返すそうです。
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これでチョロっと出して味を見るのでしょうか。こういう器械系はオトコ心をくすぐります。触りたい…。
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醸造工程の説明も受けて、なんとなく分かった気分で醸造エリアを後にします。
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毎年できたビールを特製ジョッキと共にローマ教皇へ差し上げているのだそう。
ふむ、それは羨ましいですね。
そのジョッキと同じものが数年分展示されていました。
地下セラーこそが本領!
ピルスナー・ウルケル醸造所には広大な地下セラーがありまして、これは全て人力で掘られたとのこと。
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湿り気を浴びて少し肌寒い通路を案内に従って歩いていきます。
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今でも使われているようですが、昔のピルスナービール造りにおいて地下セラーはことの他重要だったのでしょうね。ピルスナービールというのはラガーの一種で、いわゆる下面発酵という分類なのですが、発酵で熱を帯びるビールを低温に保つのが肝心。で、ここではどうしていたかというと、
冬に大量の氷を地下セラーに詰めて、それを使ってたのだそう。
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少し順番が変わりますが、最後に見せてもらった氷の貯蔵室がこちら(↑)。そばに流れている川から採取して、上に見えてる穴から落としたのだとか。天井までみっちり氷を詰めていたそうですよ。
うーん贅沢。
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さて醸造所見学もいよいよクライマックス。セラーには、今でも醸造マスターが手作りしているビールがありまして、
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温度管理とか手書きで良い感じ。完全手作りでも、ちゃんとピルスナー・ウルケルの味に仕上がるのだとか。腕をに鈍らせないように手作りもしているんでしょうか。
職人魂ですね!
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その奥にはドンと積まれたビールの樽。この樽には本当にピルスナー・ウルケルが詰まっておりまして、
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ここで樽直出しのビールが振る舞われるのです。
もちろん無濾過・非加熱!!
日本では工場関係者しか飲めないような、ある意味では最強に贅沢なビールです。
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それをこのシチュエーションで飲めるのだから、これはもうわざわざ来た甲斐があるというものです。
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グラスを受け取ってチビリと飲みながら、奥の立ち飲みスペースに移動してゆっくりいただきます。気分の影響もあるのでしょうが、やはり無濾過・非加熱のピルスナー・ウルケルは、
素晴らしく味わい深くて最高です!
試飲のあとは先ほど書いた氷貯蔵庫とか、樽を掃除するのに子供を雇っていた話とかを聞いてツアーは終了。お土産屋さんで解散となります。
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またそのお土産屋さんがかなり充実していてですね、この陶器のジャグとか買おうか迷いましたもん。この先の旅にはぜったい邪魔になるので買えないんですけどね。
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グラス類に、
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アパレル関係も充実。
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もちろんピルスナー・ウルケルや、
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ここで造られている別ブランドのビールや飲み物もズラリと揃っています。
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土産を買えないのを残念に思いながら、工場見学ももう一つのお楽しみ、レストランとバーへ向かいます。
本格レストランとバー。
昨日は目いっぱい体力回復に努めましたからね、胃袋の調子も少し良くなってきて、意気揚々とレストランへ。
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右側のレストランの方に入ると地下へどうぞと案内されて、
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メニューと暫しのにらめっこ。
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ビールは一旦ピルスナー・ウルケルを外して、ガンブリヌス/Gambrinus を頼んでみました。これも同じくこの醸造所で造られているビールで、銘柄の脇にある12という数字はバリング度。発酵前の麦汁の濃さを表す数字で、12ということはそこそこコクがある筈です。さらにnefiltrovane と書かれているので、これはノンフィルターのビール。実際飲んでみると、
コクはあるのに喉をすぅっと通っていきます。
うん、これは美味い!!新鮮で管理も良いのがわかります。
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料理の1品目は鶏出汁のスープ。具材だけのお皿に目の前でスープをかけてくれます。
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鶏出汁のコクは控えめだけど、それを補うかのように根菜の風味が効いていますね。
素朴で良い感じです!
ジャガイモとニンニクのスープでも感じた、郷愁系のおいしさが嬉しいですね。
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具材は裂いた鶏ムネ肉と人参に蕪。それにレンズ豆の形をした小さなパスタが入っていました。
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料理の2品目は仔豚バラ肉のロースト。ゆっくり火入れしたとのことで、たっぷりの脂身は程よく脂が抜けてゼラチン化しています。
とろっとろで美味しい!
うんうん、赤身の部分もとても柔らかですね。キャラウェイソースと書いてあるけれど、根菜のニュアンスを強く感じるソースもおいしくて、かなり重たい料理だけどビールとも良く合います。
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お肉の奥に潜んでる四角いやつは、ラードで揚げたポテトパイだそう。
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これがみっちり高密度なジャガイモ料理で、お肉に輪をかけて重たいのです。表面の食感もグニっとしていて、ちょっと食べづらい。必死に食べきった頃には、回復してきた胃袋も再びのダメージ状態な…。途中まで快調だったんですけどね。お会計は370Kč(2368円)。ジャガイモパイの付け合わせ以外は料理もビールもとても美味しく、大満足の直営レストランでした。
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レストランではガンブリヌスを飲んだので、最後にバーでピルスナー・ウルケルを貰いましょう。階段を上がりビアカウンターで直接
「小さいのを下さい」
と言って45Kč(288円)を払います。ビールを受け取ったら、あとは好きなとこに持って行って楽しめば良い自由なスタイル。
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外には立ち飲みできる樽や、テーブル椅子もたくさんあります。ところでこのビール、サイズを泡で調節したのかと思ったら、シュニット/Šnyt という特別な注ぎ方で、
プロが品質チェックの為にするのだそう。
液:泡:上の余白を2:3:1にして、クリーミーでアロマが良く出る注ぎ方をするのだそう。さすが本場!さり気なく技を繰り出してくるのです。最後まで満喫できた醸造所見学、プラハからでも余裕で日帰りできそうなプルゼニですので、プラハに行かれる際にはピルスナー・ウルケル見学もしてみては如何でしょう。樽直出しのビールは、とても美味しいですよ。
次回はプルゼニからドイツの大都市フランクフルトへ。相変わらず一進一退の体調不良と闘いながら、旅を続けます!
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