イギリス ヨーロッパ 旅のブログ

大英博物館でアフタヌーンティー!

投稿日:

7月20日の木曜日。ロンドン3日目のこの日は宿のキッチンでの自炊からスタートです。とても気が進まないけれど、避けて通る訳にもいかないアレと向き合う時がついに来てしまいました。

悪名高きイギリス食品マーマイトです(怖)

マーマイトというのはビールを造る過程で残る酵母粕が主原料の茶色くドロドロした食品で、その独特の匂いや味でそれこそ “イギリスの恐怖の食べもの” として知られているのです。

とはいえイギリス全土やアイルランドでも広く根強く食べられている伝統食品。「幸せな日常食」の探求を旅のテーマとする以上、避けては通れません。絶対食べきれないのは承知の上で、テスコ(イギリスのスーパーチェーン)で買ってきておいたのです。

※イギリスの通貨のスターリング・ポンド(£)は、実際にこの旅中にグラスゴーのATMでセディナカードを使い引き出したレート、1£=182.6円で記載させていただきます。


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マーマイト〜悶絶の向こうに仄かな光が見えました。

さてこのマーマイト、一般的にはトーストに塗って食べるのがポピュラーなようでして、バターと合わせるのがベターなようですがこれだけの為に、

使いきれないバターは買えません。

少々腰が引けますが、ここは真っ向勝負といきましょう。

緊急避難用に目玉焼き、挽肉と缶詰のグリーンピースの炒め物を用意して、トーストしたイングリッシュマフィンで食べてみましょう。

ぬりぬりぬり•••。

見た目チョコのスプレッドに見えなくもないですが、匂いは既に未体験の領域。思い切ってガブリといってみると、

ぐ、ぐふぅ•••。

口の中いっぱいに酵母のエグ味が広がります。勝手に甘みもあると勘違いしていたけれど、そんなものは無くてひたすら塩っぱい。ちょっと思い切りよく塗り過ぎました。バターの代わりに目玉焼きの黄身で緩和してなんとか食べ切ったけれど、これはキツイですね。でもひと息ついてからふと思いついて、ごく少量を挽肉豆に和えてみると、ふむ、味に深みが出て面白い。なるほど、バターなんかを使う料理に、隠し味的に使うと意外と優秀な調味料になるかもしれません。

キングスクロス駅の9と4/3番線。

さてこの日は1日、大英博物館の為に取っておいたのですが、予約した時間へはまだ早い。寄り道してキングスクロス駅を見に行ってみましょう。

ここにはハリーポッターの9と3/4番線の入口が再現されているのだそう。ホグワーツ魔法学校行きの鉄道に乗る為に、壁を通り抜けるアレですね。

建物の中に人が並んでいる場所があるのですぐに分かりました。まあ自分を撮りたい訳じゃないので列には並ばず、先頭の様子を見に行ってみると、

おお、すごい!

今にも壁の向こうへ消えていきそうじゃないですか!という写真が撮れるのですが、実際の様子はこんな感じ。

杖とマフラーはここで貸してくれて、撮影のアシストをしてくれるスタッフもスタンバッています。この壁の隣には大きなハリポタグッズの店もあって、なかなか良いご商売になっているようでした。

大英博物館は入場無料!

さて、そろそろ良い時間なので博物館へと向かいます。大英博物館は入場無料でふらりと行っても入れますが、こちら(→公式HP)で予約しておくとスムーズだそう。今回は11:30に予約をして行きました。

因みに予約の時も中に入ってからも、かなり執拗にドネーション(寄付)を求められます。これが他の施設なら、間違いなくある程度は寄付するのですがここに関してはちょっと複雑。だって収蔵品のかなりの部分、

植民地時代の収奪品でしょ?

文化財返還問題は未だ解決していないですからね。とりあえず拝見させてもらい、その気になったら後で払うことにします。

立派な建物に向かって左側、

この建物でチェックを受けて入場となります。予約客は専用レーンがあるのですが、この時は混んでいなかったからかフリーパス状態。

予約確認さえされませんでしたよ。

セキュリティチェック棟の壁には招き猫のパネルが。ちょっと選考基準に疑念を覚えます。大丈夫か大英博物館…。

チェックを受けて建物に入ると、正面は大きなホールになっています。

40分間の無料ツアーも各国語で出ていて、これは是非参加してみたい所ですが日本語ツアーは11:15から。惜しい、あと30分早く来るべきでした。

ホールには館内の案内図も出ているし、

地図も貰えるので、自力で回ります。とはいえこの地図だけだと、どこで何を見るべきなのか全然分かりません。ネットで「大英博物館 見所」と検索すると有名展示物を紹介しているページが色々出て来るので、展示室番号が載っているのを選んで見比べながら回ることにします。

※注 展示場所とか内容とか、記憶を頼りに書いているので、もしかしたら多少間違いがあるかもしれません。予めお詫びしておきます。

ロゼッタストーンとエジプト展示(Level 0 第4室)

最初に入ったフロアがLevel 0(日本なら1階)に当たり、上はLevel5まであるのですが、メインの展示はLevel0と3。Level0の入って左側、4番の部屋がエジプト展示でして、

まずはそこからと入口を潜ると、中は押すな押すなの大混雑。みんな正面にある展示物が目当てのようです。最前列の人が離れるとその分ジリジリと前に進み、ようやく見えてきました。

そう、これが有名なロゼッタストーン!

1799年にエジプトで発掘された、エジプト王の勅令が刻まれた石柱です。重要なのは同じ内容をヒエログラフ(神聖文字)とデモティック(草書体)、さらにギリシャ語で書いてあること。それまで不可能だったヒエログラフの解読が、この石の研究で可能になったのですね。

超有名展示物が目の前で見れて感慨深いのですが、周りを囲むガラスケースに見ている人が反射してなかなか写真が撮りづらい。後ろからの圧もすごいので、完璧な写真は諦めて次へ行きましょう。

エジプトにはまだ行ったことがないので、こういうリアルにエジプトなものを観るのは初めての経験。

お〜エジプトだ!

そのまんまの感想を思いながら、俄かにテンションが上がってきました。

こちらはライオンの女神様。

ぬーんとした表情が堪りません。

この方はたしかファラオでしたっけ。ちょっと忘れちゃいました。

会社員時代の同僚にそっくりの人がいたりして…それにしてもエジプトの像はどれもエジプトっぽさ全開で良いですね。

ヒエログリフと絵が刻まれた石板もたくさんあって、よく見るととても精巧に彫られているんですよね。

この頃たまたまエジプトに関する本を読んでいたのですが、このヒエログリフって表意文字ではなく、大部分はアルファベットと同じ表音文字なんですって。しかも上から下に書いたり、左から書いても右から書いても良いそうで、読む方向は絵の向きで判断するのだとか。

そりゃあ解読が難しい訳です。

しかも書くのにもこれ、相当時間かかりそうですよね。

古代アッシリアの彫刻がすごい!(Level 0 第7室)

エジプト展示のお隣、第7室の入口各所に据えられているのが、こちらのラマッスという守護獣像。人の頭に鳥の翼、体はライオンか牛だそうで、脚が5本はえています。

古代アッシリア(現在のイラク北部)の王宮を守っていた物だそうで、出土したニムルド遺跡はIS(イスラム国)によって破壊されてしまったのだとか。そういう意味ではここに収蔵されていて良かったと言えなくもないですね。

漫画「キングダム」の騰将軍に似た、濃いキャラのお顔立ちです。

守護獣像の間を通って中へ入ると、浮き彫りの壁画が一面に並ぶ回廊へ。古代アッシリアで最大版図を築いたアッシュールバニパル王のライオン狩りがメインなのですが、

そのライオンの彫刻の、精緻なことに驚かされます。紀元前600年台のものだそうですが、すごい技術ですね。

これもなんだか素晴らしい迫力。ビチビチに活きの良いサバなんかを餌で与えてみたくなりますね。ぐるぐる歩いてる内にまたエジプトエリアに戻ってしまったようで、

あら、上品なお猫さま。尻尾の収まりに品がありますね。調べてみるとこちらも神様だそうで、どうりでどうりで。

これはアレだ、ミイラを納めていた石櫃でしょうか。後でミイラは山ほど見ることになるのですが、取り敢えず隣のギリシャコーナーへ進みましょう。

ギリシャ彫像の躍動感たるや(Level 0 第17〜23室辺り)

アッシリアとエジプトのさらに奥は、何室にもまたがるギリシャ彫像祭り。

アテネでもゲップが出るほど見ましたが、ここの展示物もそれはそれは美しい。

本家にも引けを取らないレベルだと感心してしまいますが、それもその筈。

だってこれ↑とか、

パルテノン神殿から削り取ったんですから•••。

19世紀当時ギリシャはオスマン帝国支配下にあり、イギリスの駐オスマン大使だった人がスルタン(オスマン帝国皇帝)に許可を取って持ち出したのだそう。

1970年台から「還せよ」「いーえ還せません」というやり取りが続いているのだそうですよ。それにしても素晴らしい彫像ですね。

これはネレイド記念堂。レプリカですが、古代リュキアの都市クサントスにあったものだそう。リュキアといえばトルコのアンタルヤにいた時に遺跡を見に行きましたから、イギリスで見るとは不思議な気分です。

そうそう、ギリシャ彫像は神様だけじゃなくて、普通の動物のも素敵なんですよね。

どうです、この表情!

さっきのエジプトの猫神さまとは真逆の、品のカケラもない感じがまた堪りません。

Great Court Restaurant でアフタヌーンティー!(Level 3)

レベル0(地階)をひとしきり見終えたら既に13時近く。集中していて疲れた所で、予約していたアフタヌーンティーに向かいます。

地階にはこんな感じの軽くオヤツを食べられるカフェもあるのですが、今回予約してあるのはLevel 3(日本でいう4階)にあるグレイト・コート・レストラン/Great Court Restaurant。

名前だけ聞くととても格式高いようですが、実際はこんな感じで結構カジュアル。せっかくのロンドンなので一度くらいはアフタヌーンティーをと思ったのですが、

ホテルのティールームとか敷居高すぎですからね。

ここで休憩がてらミッション・クリアしておこうと考えたのです。お値段は事前にネット予約して30£(5478円)。ロンドンの物価と立地を考えればとてもリーズナブルなお値段です。

予約の旨を告げると席へ案内されて、予約内容のメールを見せるように言われます。

メニュー表は上の通りですが、

今回予約しているのはこのAfternoon tea 33£のもの。なるほど事前予約だと3£安くなるようですね。

飲み物はここから選べるそうで、紅茶以外も色々あるのですね。せっかくのロンドンですからミルクティーに合うものをと聞くとアールグレイをお勧めされました。

まずはティーセットが用意されて、ポットの中にはティーバックとお湯が入っています。

ん、ティーバッグ?

普通そういうものなのか、紅茶の淹れ方もカジュアルなのか、判断がつきかねますがまあいいでしょう。頃合いを見てカップに注ぎ、ミルクと合わせます。ズズズズ…うーむ、普通。

間もなく3段仕様のティースタンドが運ばれてきました。下段にサンドイッチ、中段はスコーン、そして上段にはスイーツが4種類乗っています。いいですね、

見た感じとても素敵です。

まずはサンドイッチから。4種類のサンドイッチはそれぞれ工夫を凝らして悪くはないのですが、

パンが思いの外パッサパサ ∑(゚Д゚)

スコーンはプレーンと果物入りの2種類で、クロテッドクリームと苺ジャム付き。

このクロテッドとジャム、どちらを先に塗るかで流儀が分かれるそうですが、

正直に告白するとどっちでもいいです。

自然に塗ったらデヴォン式になりましたかね。

スコットランドのパン屋さんで買ったのとは全然違い、温かい状態で提供されるスコーンはとても美味しい!クリームで補われてるとはいえ、パサパササンドからのスコーンはかなり水分も持ってかれます。

すみません、お湯くださーい。

ここのアフタヌーンティーはおかわり有料説もあったのですが、お湯だけなら無料。最初のティーバッグにお湯を足してもらい、無事2ポット目に入ります。結局ミルクティーは最初の1杯だけで、次はミルクを抜いて、その次からは砂糖も抜いて。背伸びしても結局普段通りに落ち着くのですね。

仕上げのスイーツもそこそこおいしく、でも喜ぶほどじゃないという中途半端な感じでアフタヌーンティー体験は終了。ウエイターの兄さんに「ありがとう。何か支払いってある?」と、お湯も頼んだし念のため確認すると少し言いにくそうな顔をして、

「一応10%のサービス料を頂くことになってるんですが、でも強制ではなくてですね…」

元からチップは置いてくるつもりだったけど、微妙な言い方に笑ってしまいました。ごめんごめん、黙って置いてくれば良かったよね。

紅茶の後のミイラ三昧(Level 3 第62-63室)

内容的には中途半端だけど雰囲気的にはとても優雅なアフタヌーンティーを終えて、同じフロアにあるエジプトコーナーへ。この辺のエジプト展示はひたすらにミイラ尽くしでして、

ちょっと落差が激しすぎます。

自粛してこの辺の写真を載せておきますが、

実際の展示内容はこれより数段生々しい。

エジプトのミイラって確か死後の復活を信じて施している筈ですが、こんなに大盤振る舞いに並べちゃっていいのでしょうか。まさか本人も、

博物館に晒されるとは思ってもいなかったでしょう。

見にきて写真まで撮って言うことじゃないですが、少し切ない気持ちになりました。

ミイラと違ってこういう展示は和みますね。「何見てんじゃオラァ」みたいな表情で、こちらの罪悪感も和らぎます。恐い顔してる割には、

シャンプーボトルみたいな形ですしね。

この辺のお猫様の顔ははもっと和みますが、実はこれ猫のミイラだそう。この子にはぜひ復活して欲しいですね。

これはミイラじゃないと思うのですが、お顔はまさに傑作の域。三者三様の表情で、真ん中の子とかもう連れて帰りたいです。

メソポタミアと中近東(Level3 第55-56周辺)

続いては同じ階にあるメソポタミアコーナー。この辺になると歴史的にも文化的にも一層知識が無くてですね、

世界史取っておけば良かったなぁと考えていたら、こちらの陶器が目に留まりました。あらあら、良い色形じゃないですか。左の鉢なんて、

思わずブリ大根を盛りたくなります。

ほお、これは中学の教科書で見て以来の楔形文字ですか。

ぴょんと立った花が可愛らしい被り物に、

これは世界最古とも言われるボードゲーム「ウル王朝のゲーム」で、展示されてるのは紀元前2500年のもの。双六みたいにして遊ぶんだそうですよ。

こちらはウルのスタンダードというとても有名な展示物。スタンダード(軍旗・旗章)と名付けられてはいるものの、用途は全く分からないそう。

紀元前2600年頃の遺跡から出てきたそうですが、とても味がある絵柄です。

メソポタミア展示で驚いたのが、こちらのバベルの塔。ご存知のようにバベルの塔は旧約聖書の創世記に出てくる物語です。神の世界に届かんとする塔を建てる人間に神が怒り、塔は崩れそれまで同じ言葉を話していた人間が多くの異なる言葉に別れてしまったというのですが、

当然神話のようなものだと思ってた訳です。

ところがこの展示を見ると、現イラクにあるバビロンの遺跡から、バベルの塔の実在を裏付ける石板が見つかったとのこと。

当時バビロンにあったジッグラトという建造物、その中でもエ・テメン・アン・キという90m位の高さのものがそのモデルではないかというのです。まだ賛否はあるようですが、

とても浪漫のある話。

出雲大社によく似ていますね。

その他にもメソポタミアの石板などはとても見応えがあって、じっくり見ている内に時間がどんどん過ぎていってしまいました。他にもアジアやアフリカ、イースター島のモアイ像など見所は山ほどあるのですが、もう体力と集中力の限界です。

スコットランドはルイス島のチェス駒だけ見て帰るとしましょう。中世に作られたとても珍しい品だそうで、

これもスコットランドとイングランドで返還問題が続いているのだとか。同じイギリスなんだから、その辺すっきりさせようよ…。とても興味深く勉強になる展示内容だったけど、やはりどこか腑に落ちない大英博物館なのでした。

疲労困憊におにぎりが沁みる。

途中でアフタヌーンティーの休憩をしたにも関わらず、疲れ切って大英博物館を後にして、

スタバでアイスコーヒーを買いました。はぁ…疲れた。

取り敢えず宿へ帰ろうと経路検索をするとバスが圧倒的に便利なよう。よし、ロンドンの二階建てバスに初挑戦です。

といってもオイスターカード(ロンドンのSuicaみたいなチャージ交通式カード)があるので、ピッとやって乗るだけです。せっかくなので2階に登り、ロンドンの町を眺めながら宿へと帰ったのでした。

宿でひと休みして、今日の晩御飯は自炊です。マーマイトを買った時に豆腐も見つけていたので、久々の和食。

缶詰のだけどグリーピースご飯を炊いて、

豆ご飯のおにぎり!豆腐は常温パックのだからさほど美味くはなかったけれど、冷奴に茄子の塩揉み、茄子と豆腐の味噌汁と巻かないだし巻き。

うん、やはりおにぎり美味いです(泣)

ロンドンは比較的、日本の食材が手に入りやすいような気がします。


次回は時系列を入り繰りして、ロンドン町巡りとイングランドのコンフォートフード、ソーセージ&マッシュのお話。ナショナル・ギャラリーにも行ってきました!


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