こんにちは、ミャーです。ちょっとバタバタして更新が遅くなってしまいました。久々のブログはナッシュビルで一夜明けた9月10日日曜日の午後から。激辛ホットチキン(前回記事参照)を食べた後に向かったのは、ジャック・ダニエル蒸留所です。バーボン・ウイスキーの蔵巡りも、今回のアメリカ横断でとても楽しみにしていた主目的のひとつ。なんたってバーボンが好きで新卒で洋酒の会社に入ってから月日は流れに流れて、
25年越しの念願が今ようやく叶う!
という訳ですから、思い入れもひとしおです。とはいえ早まってはいけません。ご存知の方も多いかもですが、テネシー州にあるジャック・ダニエルはバーボン・ウイスキーじゃなくテネシー・ウイスキー。でもやはりここも、長年訪ねてみたかった蒸留所なのですよね。
※文中のレート換算はサンフランシスコで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1ドル($)=142.9円で記載しています。その後レートは更に悪化していくんですけどね(泣)
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憧れのジャック・ダニエル蒸留所
さて、ホットチキンを食べたボルトンズ/Bolton’s はナッシュビルの町にあり、そこからジャック・ダニエル蒸留所/Jack Daniel’s Distillery までは車で約1時間半、距離は117km ほど離れています。
午後2時半に予約を入れているので時間的にはかなり余裕。好天のもと快調に飛ばすと、ポツポツと郊外の住宅街を通り抜けていきます。
道の両側に広がる芝生に、アメリカ南部っぽい瀟洒な家々。ここまで走って来たアメリカの町々ではあまり見なかった光景です。
バックミラーに取り付けたiPhone を使い、走りながら撮っているため構図がイマイチですが、アメリカドラマに出てきそうな美しい景色が続きます。芝生の手入れが大変そうだ。
駐車場とウェルカムセンター
55号線を北東方面から走ってくると、左手に蒸留所の正面入口があります。
正門の内側にも駐車場はあるのですが、車はいっぱいで空きそうもありません。正門に入らずに、通り過ぎてすぐの右手に広い駐車場があるので、そちらに停めました。
駐車場は無料。少し時間が早いので、駐車場敷地内にあるウェルカムセンター/Tennessee Whiskey Trail Trailhead & Welcome Center に寄ってみましょう。
ここは多分ジャック・ダニエルの施設ではなくて、テネシーウイスキー・トレイルがやっているお店。詳しくは知らないのですが、テネシーにある蒸留所を見て回ろうというプログラムみたいですね。
実はイギリス・アイラ島の蒸留所で買ったキャップを紛失してしまって新しいのが欲しいんです。ずっと探しているのですが•••
うーん、なんか違う。
ドンピシャ好みに合う帽子ってなかなか見つからないですね。
BBQソースとかピクルスとかもあるけど、どうも正体がわからず買う気が起きません。そう考えると日本の手書きPOPって、ほんとよくできてますよね。
因みにジャック・ダニエル蒸留所は、見学するのに鞄の持ち込みは禁止です。クラッチバックはギリOKで、あとは財布とかカメラまで。予約すると送られてくる確認メールにも詳細が書いてありますが、注意が必要です。
門をくぐって自然豊かな敷地を歩き、ビジターセンターのあるメインの建物へと向かいます。
ビジターセンターの前には送迎バス乗り場もあって、なるほど車がなくても見学できるんだなと思ったのですが、
回遊しているのは本当に蒸留所近辺だけ。蒸留所があるリンチバーグ/Lynchburg という小さな町に泊まらないと、このバスは使えませんね。他に自前の車以外での行き方としては、ナッシュビルから出ている見学ツアー(ツアー会社がやっているもの)に参加する手がありますが、そこそこ良い値段なんですよね•••。運転で試飲ができないけれど、苦渋の決断で今回はレンタカーでやって来たという訳です。
ビジターセンターで受付&展示見学
標識に従って歩いていくと、間もなくビジターセンターに辿り着きます。
綺麗な芝生にこざっぱりした白い建物。いかにもアメリカ南部らしい雰囲気が感じられます。
中に入ると受付には多くの人が群がっているけれど、皆んな予約して来ているのかサクサク進みました。予約はジャック・ダニエル蒸留所の公式サイト(→こちら)から。わたしの時は前日で余裕でした。
今回予約したのはThe Flight of Jack Daniel’s という、場内見学に5種類の試飲がつく標準的なツアー。料金は30$(4287円)で15時スタートの回です。
30分前には来るよう言われているので、受付を済ませたら同じフロアの展示を見て出発を待ちます。
中央の展示では製造の流れが簡潔に解説されていて、
こちらが主原料のトウモロコシ・ライ麦・大麦麦芽です。
製造工程以外にも、壁側にはさまざまな展示物。
風情ある昔のボトルだとか、
このトパーズ/Topaz というブランドのコーンウィスキーは初めて見ます。たぶん1900年代初頭頃のものだそうで、へ〜こんなのも作っていたんですね。
創業者ジャックさんの着ていた服とそのエピソード。さほど長くない解説文からは、当時の雰囲気が活き活きと伝わってきます。
ジャック氏が若くして住み込みで働いた農場にはウィスキー蒸留設備があって、そこでネイサン “ニアレスト” グリーンさんという黒人奴隷からウィスキー造りを学んだのだそう。その後ジャック氏はその蒸留所を譲り受け、南北戦争を経て奴隷解放されたネイサン氏を蒸留責任者に据えてウィスキー造りを始めたのだとか。
当日の世情で黒人を蒸留責任者に抜擢するというのは結構すごいこと。
ジャックとネイサンの友情を礎に、蒸留所が成功を収めた話が文章で綴られていました。そこからビジネスは其々の子孫へと受け継がれ、今日のような世界的なブランドに発展していく過程では色々な物語があったのでしょう。
ちょっと大河ドラマで観てみたい。
なんて考えていたら、ツアー開始の呼び出しがありました。
カクテル片手にツアーが始まります
ビジターセンターの奥に集合し、促されるまま外に出ると、場内移動用のバスが待ち構えていました。
バスに乗る前に順番に写真撮るからね。と樽が積まれたトラックの前に立たされて、グループごとに記念撮影。
こういう時にソロ参加だと居心地悪いですよね•••。
写真の引換券を渡されましたが、スルーしておきましょう。
少しだけ走ってバスを降りると、キッチンカーでウィスキーカクテルのサービス。羨ましいけどここは我慢。運転役のいないソロ参加の悲哀を、さっそく味わいます。
でもまぁ、そんな悲哀も憧れの蒸留所見学を実現中の身としては些細なこと。その先にある炭焼き場(上の写真正面)を見てテンションは一気に上がります。ここではジャック・ダニエルを特徴付ける “チャコール・メロウイング” という製法で使われる、サトウカエデの炭を使っているのですね。
ガイドさんの英語はめっちゃ早口ですが、拾えた単語を予備知識で補完して、なんとかギリギリついていきます。
炭焼きしてる所は動画で見せてくれたのですが、おそろしくシンプルで、
ただ積んで野焼きしただけ。
に見えるのは気のせいでしょうか。
これが焼き上がった炭ですね。蒸溜したウィスキーの原液を、これで濾過することで不要な香り等が取り除かれてまろやかに仕上がるのです。
その説明の流れでガイドさんが透明な液体を我々の手にかけてくれたのですが、これはムーンシャインと呼ばれる蒸留したての原液です(たぶん)。手に当たるそばからホワァと揮発していくので相当アルコール分が高いのが分かります。
敷地内を移動しながら、随所でガイドさんによるエピソードトークが混ざります。小気味良い喋りにしばしば笑いも起きて中々に素敵な雰囲気。
ほとんど何言ってるか分かりませんけど•••。
それでも緑豊かな敷地を散歩して、所々に格好良い建物とかがあって、とても楽しい。
ライムストーンの泉と、ウィスキー造り工程
ジャックさんの銅像を見ながら先に進み、
次に向かったのは岩壁に開いた洞窟のような場所。
ウィスキー造りに水質はとても重要なのですが、バーボンやテネシーウィスキーで伝統的に使われるのは石灰岩(ライムストーン)で濾過された水。ジャック・ダニエルでは敷地内に湧水があるのですね。
カルシウムを多く含む硬水で、酵母の働きを活性化させるのだとか。
知識としては知っていたけど、実際に見ると感慨もひとしおです。
次に立ち寄った平屋の家は、昔の執務室か何かでしょうか。
映画にでも出て来そうな、時代を感じさせる佇まい。
仮にこの家が100年前に使われていたとして、その頃の世界は今より遥かに広くて遠かったのだろうな。ここに日本人が見学に来る事など殆どなくて。もしその頃ここを訪れたなら、今とはまた全然違う印象を抱いたことでしょう。まだネットどころかテレビもない。ガイドブックも予備知識もなくて、見るもの全てが初めてで新鮮で驚きに満ちていて。
100年前の世界を旅してみたい。
そんな妄想が頭を巡ります。
ここからツアーはいよいよ製造工程に入っていくのですが、この建物の中は残念ながら撮影禁止。入るとすぐにポットスチル(蒸留窯)があって、目の前から出来立ての原液(ムーンシャイン)が流れ出ています。
いきなりクライマックスですか⁉︎
スコッチの蒸留所では時間を割いて熱弁する所ですが、なぜかあっさりと通り過ぎて、
あっという間に蒸留施設の外へ。空中回廊を伝って隣の建物へ行くと、そこでは先程も触れたチャコール・メロウイング(木炭での濾過)工程。ここも撮影禁止ですが、敷き詰められた木炭の層にさっき見た原液がポタポタと1滴ずつ落ちていくのを目の前で見られます。約3メートルの木炭層を通り抜けるのに2日もかかるそう。ガイドさんの解説にも熱が入り、「ちょっと匂いをかいでみて」とガタガタ蓋を揺すると、ぶわっと香りが立ち上ります。
なるほど、ここが見学ツアーのヤマ場ですね。
ジャック・ダニエルの肝である、チャコール・メロウイングを間近に見られて大満足です。
別の建物に移って、今度は熟成に使う樽について。バーボンやテネシー・ウィスキーは内側を焦がした新樽を使うのですが、
その焦がし具合にも厳格な基準があるようです。
この焦がした樽がウィスキーに華やかな風味をもたらすのですよね。
最後は4種類のテイスティング
蒸留所見学がひと通り終わり、最後はお待ちかねの試飲タイムです。
「お待ちかね」と言ったものの、運転があるわたしは勿論飲めません。カリフォルニアのワイナリー見学もそうだったけれど、これが車旅で一番切ない所ですね。
熟成樽に囲まれたスペースにはテイスティングの準備が整っていて、ガイドさんの説明を聞きながら順番に味わって感想を述べ合っていきます。
いいなぁ•••。
とはいえ今回参加したツアーは、試飲付きの中では一番安いやつでして、秘蔵のお酒だとかは出てきません。
スタンダードなジャック・ダニエルにチャコール・メロウイングを2回行うジェントルマン・ジャックとライ・ウィスキー。
右側の3つはフレイバード・ウィスキーですね。皆さんが楽しそうにしている脇でわたしはというと、こっそりテーブルの下でウィスキーの移し替え作業をしていました。
実は前日に、アメリカの百均みたいな店で容器を買っておいたのです。これが無い知恵を絞った今回の秘策。雌伏の時を過ごしてモーテルに帰った後、
こうして独り寂しく試飲会を開催したのでした。それにしてもジャック・ダニエルさん、
ちょっと量が少なすぎやしませんか⁉︎
試飲が済むとツアーは解散で、トータル所要時間は1時間半ほど。あとは各自好きなようにお土産コーナーを見て終了です。不思議なのはここではウィスキーしか販売しておらず、グッズ関係へ町にある提携店に行かないと買えないのだそう。
円安に物価高でウィスキーの値段もかなりなもの。
テネシー限定銘柄もあったけれど、買うのはやめておきましょう。まだこの先も、バーボンの蔵巡りが待っていますからね。
ナッシュビルのソウルフード店SWETT’S 。
初めてアメリカの蒸留所を訪れた高揚感と、試飲できなかった消化不良。複雑な気持ちを抱えてナッシュビルの町に戻って来ました。
晩ごはんのファースト・オプションは常にソウルフード。アメリカ南部に居る間に、1軒でも多く食べていきたい所存です。
今回見つけたのはナッシュビルの西はずれにあるSWETT’S。中に入るとまずはカウンターで注文をする、セルフ方式お店のようです。昼にホットチキンを食べたので鶏料理は除外するとして、
レバー&オニオンにカントリー・フライド・ステーキ。リブやポークチョップとか、
既に食べたことある料理が殆ど。
ネットで調べるとソウルフードって色々な料理があるはずなのですが、実際に店を回ってみるとそのごく一部。限られた定番料理しか見つからないんですよね。一番期待していた内臓料理なんて、レバー以外はまず見かけません。もしや文化の衰退かと、部外者ながらも切なくなります。
仕方ないのでアメリカでまだ食べていないミートローフを選択。サイドが2品選べるので、カラードグリーンとライスをお願いしました。
追加でピクルスも貰って会計は15.61$(2231円)。料理を受け取って席につき、
さっそく付いてきたコーンブレッドをひと口。ほぉ、よその店では無かった独特のクセがありますね。
豪快に盛られたコラードグリーンは英語で書くとCollard Green。キャベツの原種のような野菜だそうですが、食べた感じは硬く色濃く育ったキャベツの外葉をクタクタに煮たような。ワイルドなのに滋味を感じる、ソウルフードを始めアメリカで定番の野菜料理です。
ミートローフはハンバーグに似た挽肉料理ですが、この店のものは大らかな味で可もなく不可もなく。でもですね、ここで生きてくるのがサイドにライスを頼む深謀遠慮。
なんと擬似ハンバーグご飯を楽しめるのです!
ピクルスで口をさっぱりさせながら、ボリューム満点の料理を完食。特別おいしい訳じゃなかったけれど「町のまんぶく食堂」といった感じで好感のもてるお店でした。
次回はナッシュビルでフライドチキンの大人気店を訪れ、午後からルイビルへ移動しました。ついに足を踏み入れたケンタッキー州で、まずはケンタッキーダービーの聖地チャーチルダウンズ競馬場に乗り込みます!
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