少しご無沙汰ですみません、ミャーです。SNS(XとInstagram)ではお知らせしたのですが、実は実家で重めのトラブルが発生して、メキシコから急遽帰国しています。対処にそれなりに時間がかかりそうで、今の段階では旅の再開が不透明な状況。
ナルハヤで旅を再開したい!
という思いは強いのですが、家族は大事ですからね。やるべき事をやりつつも、隙を見てブログはこのまま書き進めたいと思います。
さて前回の記事はヒューストンからニューオーリンズに着いた所まででした。実はニューオーリンズはわたしにとって、若い頃から訪ねてみたかった土地。ニューオーリンズといえばジャズ発祥の地として有名ですが、ジャズに限らずわたしが若い頃に深く親しんだアメリカの黒人音楽(ソウル・ファンク・R&B・ヒップホップなど)において、ニューオーリンズはとても重要なルーツの一つなのです。年を経て食に関心を持つようになると、今度は独自の食文化に惹かれるようになりました。まさにニューオーリンズは、
音楽と食においてオンリーワンの憧れの地!
今回のアメリカ旅でも一番長い6泊を割いたのですが、飽きないどころか全然足りない!これから何回かに分けてニューオーリンズについて書いていくのですが、今回は独特の町の雰囲気とジャズを始めとした音楽体験についてです。
※文中のレート換算はサンフランシスコで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1ドル($)=142.9円で記載しています。その後レートは更に悪化していくんですけどね(泣)
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フランスとスペインの風情が美しいニューオーリンズの街並み。
ニューオーリンズが他のアメリカの都市と違う独自の文化を持っているのは、その歴史に理由があります。ニューオーリンズを含むミシシッピ川流域は、その昔は広くフランスの植民地だったのですね。その後スペイン統治を経てアメリカ合衆国に併合されるのですが、例えば建物で言うとスペイン時代に建て直されたものが多いそう。
大通りは如何にもアメリカ南部や西部で見るような風景ですが、フレンチ・クォーターという区画の中は雰囲気のある建物が多いのです。
こちらがそのフレンチ・クォーター内にある、ニューオーリンズ一番の繁華街バーボン・ストリート。一般的にアメリカでは路上飲酒はNGですが、この通りでは飲んでも許される雰囲気が確かにあります。
公認か黙認かは知りませんが。
騎馬警察の人もいたし、きっと公認なのでしょう。路上飲酒に話が逸れてしまったけれど、ここで伝えたかったのはニューオーリンズ独特の建物です。
どことなくスペインを感じる色使いもとても素敵なのですが、何より特徴的なのはこういったバルコニーです。
シンプルなのから凝ったものまで色々ですが「とにかくバルコニーは必要です」的な強い意志を感じますし、凝ってるものは上の写真のように美しい細工に緑が映えて、
うっとりするほど美しい!!
ここは町のランドマーク、ジャクソン・スクエア。
そしてこちらがフレンチ・マーケット。全て町の中心部、フレンチ・クォーターの中に固まっていて、気軽に歩いて散策できる距離感です。
フレンチ・マーケットは天井のついた細長い商店街。土産物を中心に軽食やコーヒーを売る店も並んでいます。
こちらはナッツと併せてニューオーリンズ銘菓のプラリーン/Praline (プラリネとも)を売るお店。これも植民地当時のフランス人シェフが考案したと言われていて、ナッツ類をカラメルにした糖でコーティングしたもの。
色んな味があってなかなかイケます。
露店を冷やかしながら歩き、
独特のセンスのキャラクターにアメリカを感じます。
お土産屋さんに入ってみると、食品や料理関係の小物が目立ちます。やはりニューオーリンズはアメリカ有数のグルメタウン。地域のアイデンティティがこれほど料理によって成り立っている町は、アメリカでも類を見ないだろうと思います。
鍋敷きやミトン、エプロンなんかも可愛らしく、買い物衝動を抑えるのに苦労します。
ベネツィアでも見た仮面が沢山売っていましたが、これはニューオーリンズ・マルディグラ用のもの。マルディグラというのはキリスト教の謝肉祭(カーニバル)を祝うもので、ニューオーリンズのマルディグラはリオのカーニバルと並び、
世界有数の規模と知名度を誇るもの。
開催日は年によって変動するのですが、概ね2月で年によって3月にずれ込みます。残念ながら今回は全くの季節外れですが、マルディグラの展示をしている博物館があるので後で行ってみようと思います。
カフェデュモンドのベニエとカフェオレ。
フレンチ・マーケットのすぐ近く、同じディケイター・ストリート/Decatur St. 沿いにあるのがこちらのカフェデュモンド/Cafe du Monde。
ニューオーリンズのガイドブックには恐らく100%掲載されているであろう、町を代表するカフェです。
この店の名物メニューがチコリ入りのカフェオレと、フランス系スイーツのベニエ/Beignets です。昔々イタリアとの関係でコーヒーが手に入らなくなったフランスは、チコリの根を焙煎してコーヒーの代用品としたそう。その名残でフランスではチコリ入りコーヒーを楽しむ文化があるようですが、フランス植民地であったニューオーリンズにもそれが残っているのですね。
チコリ入りアイス・カフェオレとベニエ3個で9.25$(1322円チップ別)。カフェオレは言われれば普通のコーヒーと違うニュアンスを感じるような気もします。ベニエの方は具の無い素ドーナツに粉砂糖がたっぷり。シンプル極まりないものなのですが、
この生地が絶妙に美味しいのです!
僅かにもっちりとして、粉の風味と程よい甘さ。3個飽きずに食べられましたけど、ボリューム感はかなりなもの。オープンテラス席で食べていると、通りにはチップ目当てのジャズバンドが派手に演奏して回っています。チップ払うのが嫌という訳じゃないけれど、目の前でロックオンして演奏されると1人客には少々居心地が悪いんですよね(汗)こちらに来る前にお暇する事にしましょうか。
ミシシッピ川で格安リバークルーズ。
フレンチ・マーケットやカフェデュモンドのすぐ東側には、メキシコ湾に注ぎ込むミシシッピ川が流れています。ミシシッピ川はかつて物流の要であり、河口域の広大な三角州はバイユー/Bayou と呼ばれる湿地帯を形成しています。ここではザリガニ・海老・ナマズなどが豊富に獲れ、食文化への影響は多大。さらにその湿気や粘り気はアメリカ南部音楽独特のグルーブとも結びつき、
彼らのアイデンティティの大きな拠り所となっているのです。
確かの町のあちこちでバイユーの文字をよく見かけましたもんね。
ミシシッピ川沿いには広々とした遊歩道が続いており、真夏の灼熱も川風が程よく和らげて心地よい。
そしてこちらの外輪船は、ニューオーリンズ観光の象徴とも言えるもの。ビュッフェのディナーとジャズ生演奏付きのクルーズを楽しむことができます。調べた感じ2時間でざっくり7000円くらい。アメリカの物価からするとそう割高でもないのですが、
ひとりでビュッフェ・ディナーもちょっとね•••。
という訳で、寂しいソロ・トラベラーとしては格安&お手軽な公共フェリーで対岸に渡ってみることにします。
Central Street Ferry Terminal という渡船場から出ている船は片道たったの2$(286円)。ニューオーリンズにはバスやストリートカー(路面電車)、それにこのフェリーでも使えるLe Pass という公共交通アプリ(→公式サイトからDWL可能)があって、アプリ内でチケットの購入もできるのですね。チケットを買っておけば、乗る時にアクティベートして見せるだけ。そのアプリで買えるJAZZ PASS という乗り放題チケットなら、このフェリーでも使えて1日3$(429円)と更に安くなります。
ニューオーリンズの町がある西岸からは毎時15分と45分の30分間隔で出港していて、乗っている時間は7分ほど。
夕暮れの時間を狙っていったので、船上からはニューオーリンズの町に沈む夕日を見ることができました。
うん、いいね。
対岸には店とかも何も無く、とても長閑な雰囲気。行きのフェリー乗り場近くの商業ビルにもカフェデュモンドが入っていたので、チコリ入りカフェオレをテイクアウトしてきました。ミシシッピの夕日にチコリコーヒー。
うん、いいねいいね。
帰りは毎時00分と30分に船が出ています。7000円の豪華クルーズじゃなくても、充分旅情を満喫できる、節約ショートクルーズです。
マルディグラ・ワールドは送迎バスで行きましょう。
先ほど触れたニューオーリンズの一大イベント、マルディグラ。今回は完全に季節外れですが、その雰囲気をいつでも楽しめる観光施設が、マルディグラ・ワールド/Mardi Gras World です。場所は先ほどのフェリー乗り場から南に約2km。歩けないことはないですが、町中からだと更に遠いですからね。事前に予約するとフレンチクォーター各所から送迎バスに乗れるらしいのですが、今回はレンタカーがあるので直接車で行ってみました。
建物の前には広大な駐車場。路駐もできそうな雰囲気ではあるけれど、駐禁が怖いですしね。スマホ決済専用で入口に料金表示が無いのが不安だけど致し方無し。とりあえず車を入れて支払いサイトにアクセスしてみると、
なんと1日券のみで23$(3287円)!
マルディグラ・ワールドの入場料が23$なので、1人利用のわたしは倍額になるという惨事です(痛)
想定外出費に気落ちしつつも、中に入って入場料を支払います。チケット代わりに渡されたのは、金色のビーズネックレスと団扇。ビーズネックレスはマルディグラのパレードで、客に向かって餅撒きのように投げられる定番アイテム。団扇の方はですね、
倉庫は激暑だからそれを使いな。いいか、少し見たらクーラーの効いてるここに戻ってくるんだ。決して倉庫に長居はするなよ。
とのこと。この施設はパレードに使う山車が展示のメインで、それは広い倉庫に並べられているのですね。
受付兼お土産物の部屋から倉庫へ出ると、そこはもう予告通りの激暑空間です。展示というより雑然と格納されている様子はまさに倉庫。
パレードで使う巨大な山車やオブジェがごちゃごちゃに並んでいます。
倉庫内は展示場であり作業場でもあるようで、時々オブジェ制作をしている人を見かけました。
これに人が大勢乗って、道を練り歩くのですね。
これは後で見た併設シアターの映像です。マルディグラ本番ではこんな感じで大盛り上がりする訳で、死ぬまでに一度は見てみたいものです。
うん、楽しそう!
じっとり汗をかきながら一応隅々見て回ると、独特の怪しいセンスな山車がたくさんあって目を惹きます。
何がテーマか良く分かりませんが、とりあえず迫力だけは文句なし。詳しく聞きたい人は、無料のガイドツアーに当日参加することもできるようです。
あまり整った施設ではないし、人によってはがっかりスポットかもしれませんが、マルディグラの雰囲気を多少なりとも感じられて楽しい場所でした。
バーボン・ストリートの名物カクテルを飲むべし!
ジャズ発祥の地として有名なニューオーリンズですが、黒人発祥の音楽を育み広めるには、元々異文化ミックスで新しいものにも寛容な文化的土壌が重要でした。なんせ当時は公民権運動のはるか前。奴隷制は廃止されていたけれど、依然アメリカ南部では圧倒的な差別社会です。黒人はレストランも別だとかKKK(クー・クラックス・クラン)による黒人へのリンチなど日常茶飯だった頃ですからね。「粗野で野卑な黒人音楽なぞとんでもない!」という層が強かった時代なのです。
そんな状況でもやはり音楽の力は凄まじい。ニューオーリンズで生まれたジャズはアメリカ全土、そして世界へと飛び火していくのですが、その現象を描いた奇想天外な小説が、イシュメール・リード著の『マンボ・ジャンボ』↑です。Amazonに掲載されている概要↓を読むだけでも伝わる通りその内容は、
設定だけでも笑いが止まらない、ぶっ飛びストーリー!!
あくまでこの小説はニューオーリンズから広がるジャズを題材にしたものなのですが、
「壁の花教団」との戦いなどこの小説の設定は、Pファンクという音楽集団に丸パクリのように引き継がれていくのです。ファンクの帝王ジェイムス・ブラウンの次の王者Pファンク。ファンク・ミュージックを阿鼻叫喚の変態音楽に昇華させたバックボーンは、ニューオーリンズで生まれたジャズと同根という訳なのです。
その小説の主人公パパ・ラバスの肩書きが “ヴードゥー探偵”。ブードゥー教というのは西アフリカからカリブ海の国ハイチに連れてこられた黒人奴隷が生み出した宗教で、呪術を操る神秘的なもの。ハイチ同様フランス植民地だったニューオーリンズにも伝わり、これまたジャズやファンクに影響を及ぼしているのですね。そしてその名を冠したカクテル “ヴードゥー・ダイキリ” が大人気のバーボン・ストリートにあるバーが、こちら↑のLafitte's Blacksmith Shop Bar。
外観からして雰囲気たっぷりの超絶人気店です!
店内入ってすぐのカウンター奥にはずらりとフローズン用のマシンが並んでいます。1杯10$(1429円)をキャッシュオンで支払って、あとは好きな場所に持っていって楽しむだけ。
別名パープル・ドリンクとも呼ばれるこのカクテルの正体は、紫色をしたフローズン・ダイキリ。葡萄ジュースか赤ワインを使っているのでしょうか、ほんのりタンニン(渋み)が効いて、コクがあるけどとても飲みやすいです。
昼間に訪れた時は店内に照明などはなく、店の奥は薄暗くてとても雰囲気があります。その妖しさがヴードゥーのイメージとも重なって、とても印象深いのですね。酷暑のニューオーリンズに歩き疲れたらここで冷たいカクテルを飲みながら、アメリカ黒人音楽のバックボーンに想いを巡らせるのも良いかもしれません。
音楽好きなら絶対楽しい!バーボン・ストリートの昼と夜。
フレンチ・クォーターの中にある一番賑やかな目抜通りがバーボン・ストリート。バーやレストランが多数軒を連ねているのですが、
同様にここは音楽の中心でもあります。
平日は夕方頃になると、そして週末はもう昼間っから、
カクテル片手に歩く人が増え始め、
道端ではレベルの高い奏者がパフォーマンスを繰り広げます。
通りに面したオープンエアの広場では、熟練ミュージシャンのジャズ演奏をやっていて、
飲み物1杯買うと自由に観ることができます。殆ど無料で楽しめるこういったライブがですね、
いちいちレベル高くて楽しいのです。
夜になると益々通りは盛り上がってきて、
路上から店内から、音楽が耳に飛び込んできます。店舗型のライブハウスはジャズに限らず、そのジャンルも多種多様。
こちらはソウル・ファンク中心のライブのお店ですし、
ここはもう少しミーハーなヒット曲をジャンルを変えて演っていました。営業形態もそれぞれだけど、多いのはミュージックチャージ無し、ドリンク1杯は頼んでねというスタイル。道端から中を覗けるし、気軽に入って飽きたら出るのを好きなだけ繰り返せます。
そんな感じでとてもカジュアルにライブ音楽を楽しめるのですが、せっかくのニューオーリンズならもう少しだけアッパーな場所でジャズを聴いてみたくなります。とはいえ高級ホテルで演ってるような畏まった場は苦手。
そんな時にちょうど良いのが、プリザベーション・ホール/Preservation Hall です。
バーボン・ストリートから横道に入ってすぐの場所にあり、連日複数回のライブを行っている場所です。料金は着席で40〜50$(5716円〜7145円)ですが、スタンディングなら25$(3573円)とかなり割安。チケットは公式サイト(→こちら)からオンライン購入できます。
ライブをするのは小学校の教室くらいの小さな部屋で、アットホームな雰囲気が素敵です。わたしが買ったのは立ち見のチケットですが、この日はお客が少なかったので空いてる席に座らせてくれました。肝心のパフォーマンスはというと、
楽しく格好良く、もう最高でした!
トロンボーンを吹く巨体の黒人オッチャンが「ブピー!!」とわざと濁らせた音を出し、ユーモラスなのに推進力を生んでとてもクールなのです。ピアノのお爺ちゃんはご飯を口に入れたまま噛むのを忘れちゃいそうなボケ〜っとした見た目なのに、奏でる音は繊細でグルービィ。演奏時間は約45分、ニューオーリンズの地力を体感できる素晴らしいひと時を愉しめました。
今回はニューオーリンズの町の雰囲気や音楽について書いてきましたが、次回はいよいよ料理の話。ケイジャン料理とクレオール料理、2つの軸からなる絶品ニューオーリンズ飯についてです!
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