フィリピンで汁麺料理と言われて「ああ、あれ!」って言える日本人は、どれくらいいるでしょうか。わたしは正直、まったくイメージがありませんでした。そもそも
こんなにあっついのに、需要あるんですか?
というのが最初に聞いた時の正直な感想ですが、おすすめしてくれたのは、英語学校BECで一番グルメなヘイゼル先生。それなら、何はなくともまず喰ってみなければ始まらないと、行ってきました。
TITO'S ILOILO'S LAPAZ BACHOYの麺料理「ラパズ・バッチョイ」
学校から歩いて10分程度。よい具合にローカル感を醸し出しています。店名にILOILO'Sとありますが、ラパズバッチョイ(LAPAZ BACHOY)は、
フィリピン全体の真ん中らへん、セブ島から西の方向、パナイ島にあるイロイロという町の名物料理です。
イロイロ市内のラパズ(LaPaz)地区発生で、フィリピン全国に広まった料理です。
かなり味のある店内ですが、妙に居心地が良い。
どことなくセンスの良さを感じるのですが、わたしの感性はまだ大丈夫でしょうか。
メニュー表はこれだけです。親切でやさしい店のおかあさんに何が違うのか聞いたら、
「全部一緒。サイズが違うだけ。」
とのこと。たまたま食べていた先客の小さめサイズがSPECIALだというので、それをオーダー、玉子付きで55ペソ(117円)です。席で待っていると、ほどなく届きました。両手のひらにスッポリ収まる大きさの丼。
透明感のあるスープ。具材は細長く切った豚肉と豚レバー、豚皮を揚げたチチャロンに茹で卵。スープを啜ると、
豚肉と内臓から出た旨味と、海老の甘味が感じられます。
ちょっとだけ台湾の担仔麺を彷彿とさせる、あっさり目で綺麗な味のスープ。
この料理の麺は基本、乾麺ではなく小麦の生麺を使用するものらしい。コシは最初から期待していませんが、少しポソポソとした食感。
食事というよりはオヤツに近い、なんとも懐かしい味です。
これだけでも充分美味しですが、ラパズ・バッチョイが真価を発揮するのはこれから。
小皿の唐辛子オイルを足してパンチを効かせます。
さらに醤油を少したらすと、味がグンと複雑に。
最初から醤油を足す前提で味がつくられたかのように、料理としての完成度まで高くなります。
さらに、ワインの空き瓶に入って一瞬オシャレなのかと錯覚させる、唐辛子をつけ込んだピンクの酢。
これでキリっと引き締まります。
この辺の、調味料を入れるタイミングと順番、その量で、相当な味変バリエーションが楽しめます。
食べ手の戦略性と計画性が問われる一品であると言えるでしょう。
つまり何が言いたいかというと、酢に入った唐辛子まで計算して唐辛子オイルの量を決めないと、
「辛ーい」と悲鳴を上げることになるのです。やっちまった。
それにしても、この店のラパズ・バッチョイはレバーの臭みもなく、かなりレベルの高い一杯だと思います。タイトルに「フィリピン版ラーメン」と書きましたが、日本のラーメンとはそもそもの発想が違い、
ベトナムのフォーのように自分で味を作る余地を残した汁麺料理です。
丁寧に料理された街角の店の1杯にすっかり満足し、おかあさんに「美味しかった!」と伝えると、嬉しそうに「またくる?」と聞いてくれたので、絶対近いうちに来ますと伝えて退店。
1週間後にきっちり再訪。1サイズ上げてSUPERです。
横で「辛ーい」と言っているショーヘイさんを生暖かく見守りながら、2回目の余裕で好みの味に調整します。うん、やっぱり美味い。
もう1店のラパズ・バッチョイ(the Pork Chop Factory)
ナオキさんに連れていってもらった店でもラパズ・バッチョイを食べたことがあるので、ご紹介を。こちらの店の良さは、
何といっても半熟ポーチドエッグ!
とろけた玉子の黄身でマイルドになり、ガーリックを効かせて食べ応えのある1杯。こちらも美味でした。
店によって味が違うのは当然として、なかなか侮れないフィリピンの汁麺料理ラパズ・バッチョイ。見かけたらぜひ、トライしてみてはいかがでしょうか。
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