どことなく日本食とも似ている所があり、日本人の口にも合い易いネパール料理ですが、
その中でもモモは特に!
ネパール版の餃子であるモモは、蒸し・揚げ・焼きの調理法に、野菜・チキン・水牛などの具材が選べるのが一般的。それにチーズを入れたり、辛ーくしたり、色々なバリエーションを気分で選べるのです。
今回はカトマンズの有名店2軒と穴場のローカル店1軒。
全ての店で基本である蒸しモモを食べて、ハズレ無しだったので一気にご紹介します。また最後には、モモやトゥクパを食べて感じたネパール料理の魅力を、このブログのテーマである「幸せな日常食」と絡めて書いてみましたので、お読みいただけると嬉しいです。
※1ネパールルピー=0.97円。ほぼ日本円と同額なので、ネパール篇では個別の日本円換算は記載しないこととします。またネパール篇で単にルピーと記載したものは、ネパールルピーのことだとご理解ください。
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始まりは路上のチヤ屋さんから。
インドでもバングラディシュでも、ちょくちょく飲んでいたミルクティーはネパールにもあって、食事の時や休憩中など頻繁に飲んでいるようです。
特徴はCTCという、黒っぽい粒々の茶葉を使うことだそう。
カトマンズで何度かお世話になった路上のチヤ屋さんは、1杯30ルピー。
ネパールではこうしてお茶を飲んでいると、気軽に声をかけてくれる人が多くて退屈しません。特にカトマンズのタメル地区では、外国人相手に商売をしている人も多く、英語はクセが少なく聞き取りやすいし、コミュニケーション力が高い人が多い印象。そんな中のひとり、チヤ屋さんの近くで服屋を経営しているオジサンに、
モモを食べてみたいんだけど、どこが美味しい?
と聞いてみると、自信をもって2軒紹介してくれました。
まず安くて旨い店。そこの路地を入ったあの店だよ。美味しいけれど、実はそこはまだセカンドクラスだ。ファーストクラスの店はヤングリングという店で、ちょっと高いけど絶品だぞ。
素晴らしい。こんな的確な受け応えはなかなか返ってこないですよ。これは確度が高そうだと思い、両方とも行ってみることに。まずはチヤ屋さんからすぐの、安くて旨いという店です。
モモが美味しい安旨食堂、サンフラワー・レストラン/Sunflower Restaurant。
細い路地を入った所に目立たずにあるこのお店、おそらくあまり有名ではないローカル食堂の雰囲気ですが、そこはタメル地区。外国人向けらしき料理も各種取り揃えています。
まずはどのモモにするかを選びます。
ベジ・バフ(水牛)・チキンの具材3種にそれぞれ、蒸し・焼き(コテイ/Kothey)・揚げ・チリーを組み合わせることができます。チリーは、揚げたモモに辛いのをかけたもの。今回はチキンの蒸しをオーダーしました。
モモだけだと物足りないかもと、これまたネパールを代表する麺料理トゥクパ/Thukpa もオーダー。こちらは水牛をチョイスです。
先に水牛のトゥクパ140ルピーが着丼。上に載っている水牛肉を食べてみると、
うーん、少し筋張って味もクセがある。
スープはリッチでスパイシーで、
これは美味しい。
辛さは抑えめだけど、スパイスがじんわり効いて、身体の中から温まります。
麺は中太ストレートのふにゃふにゃ麺。
歯がなくても舌で噛み切れるレベルです。料理として洗練されたものではないけれど、寒い土地の生活に根差した食文化を感じます。続いてチキン・スチームモモ160ルピーが到着。
うん、見た感じは本当に日本の餃子そのまま。
最初は何もつけずに食べてみると、
厚めの皮がモチッとして旨い!
中の餡は肉汁たっぷりのチキン。日本で使う豚に比べて、脂があっさりな代わりに、スパイスでパンチが効いている感じです。
さらにカレー味のと辛いのと、2種のソースを交互にディップして食べると、味が変わって楽しい。これだけ日本の餃子に近いと、どうしても醤油が欲しくなるのが正直なところですが、カレーもけっこう合うんですね。
さて、この店で食べたモモとトゥクパはどちらもチベット料理です。
ネパールで食べられる料理のことを大掴みにネパール料理と書いていますが、ネパールはいくつもの民族が混在している国。本来チベット料理であるモモやトゥクパですが本当に多くの店で食べられるし、チベタンに限らず浸透し愛されている料理という印象です。身体がポカポカする汁麺料理や、モモを蒸す時の盛大な湯気を含めて、
寒い土地では何よりのご馳走なのかもしれません。
独特のソースが旨い!人気ローカル・モモ店、ニューエベレスト・モモセンター/New Everest Momo Center。
チヤ屋さんで教わったもう1軒は、何度も定休日に阻まれて、それならばと行ってきたのがニューエベレスト・モモセンター。日本人のファンも多い、人気のローカル店です。
店に入るとすぐ目の前で、湯気朦々に蒸し上げられるモモ。ごくりと唾が鳴ります。
ローカル店といっても、店内は小綺麗だし店の人も優しいし、とても入り易いお店です。ハードルがあるとすればメニュー表がないことくらいですが、
そもそも売り物が1つしか無いので、メニューなど要らないのです。
水牛のモモがその唯一のメニューで、オーダーは何人前かを伝えるだけ。この日はナガルコットからカトマンズへ戻ってきたタイミングで、遅いランチに空腹を抱えていたので2人前を注文。1皿100ルピー、2人前で200ルピーと安い!
2人前で20個のモモが到着。お皿の底に溜まっているのは、この店のモモを特徴づけるソース。これをテーブルサービスで回しかけてくれます。入店時の湯気朦々からここまで、
素晴らしいシズル演出に、お腹ぐうぐうです。
ハフハフしながら、しっかりした歯応えの皮を噛むと、
中から熱々の肉汁がピュッと飛び出る。
餡は潔く水牛肉のみです。固くてクセを感じることも多いネパールの水牛ですが、ミンチにしてモモに入れるとすべての欠点をクリアして、程よいコクだけが残ります。料理の仕方も良いのでしょう。
そして水牛のモモをより一層美味しく食べさせてくれるのが、このソース。ヨーグルトベースで、おそらく何かのハーブを加えたサラサラのもので、
パンチのあるモモを爽やかにして、料理の格を一段引き上げています。
このソースが苦手という人もいるようですが、一般的にモモについてくるカレーっぽいソースよりずっと、モモに合っていると思います。
うん、この店も相当美味しい!
カトマンズ最高の声も!モモの有名店ヤングリング・チベタン・レストラン/Yangling Tibetan Restaurant。
チヤ屋で会ったオジサンが「あそこがファーストクラスだ」と言っていた、ヤングリング。ポカラから帰ってきた最後のカトマンズ滞在でようやく入ることができました。店に入っですぐにカウンターがあり「モモを食べに来ました」と言うと、2階へ案内されました。
食堂ではなく、レストランという雰囲気の店内には、観光客もローカルの客も。どちらも来る人気のお店のようです。
メニューにはモモにトゥクパの他にも、平打ち麺のタントゥクや、炒め麺のチョウメンなど定番の料理が並んでいます。ここでは初心に戻って、チキンの蒸しモモと、エッグ・トゥクパをオーダーしました。
見た目もサイズも、日本の餃子にそっくり。何もつけずにそのまま食べてみると、
フォークを刺すだけで肉汁が滲み、ネチッとした皮が美味しい!
うーん、旨い。餃子自体の美味しさでいうと、今回ご紹介の3軒で一番かもしれません。真ん中にあるオレンジのカレーソースは、スパイシーでもちろん美味しいのですが、この店には卓上に醤油があるのです!
ふふふ、やはり醤油ですよね。
折角ネパールでモモを食べているのだから、現地の味で楽しめばいいのにと、多少の後ろめたさが無くはないのですが、
やはり醤油の方が、味が締まって断然旨い。
チキン・モモ1皿200ルピー。ニュー・エベレストの倍ですが、それでも約200円ですからね。充分コスパ高いと思います。
エッグ・トゥクパは190ルピー。
相変わらずのふにゃふにゃ麺で、細長く切った卵焼きと併せて、
ほっこり癒し系の味です。
決め手となるのはスープ。日本のラーメンのような強いものではなく、シンプルで動物系の旨味がじんわり来るのですが、
確認したらこのスープは、水牛ダシとのこと。ポカラでも水牛ダシの店があり、確認していない店でも似た味のスープは多かったので、チベタンでは標準的なのかもしれません。トゥクパやモモを食べて感じたのが、ネパール料理は本当に日々の暮らしに根付いた日常食だということです。そんな話を最後に少し書かせていただきます。
ネパール料理のほっこり癒し系は、どこからくるのか。
前々回少し書いたように、ネパールでは朝晩2食にダルバートを食べて、お昼はカジャと呼ばれる軽食を取るのが伝統的な食事スタイル。なので、
モモもトゥクパも全てカジャに含まれます。
日本の外食には、来店頻度を想定して味の強さを設計するという発想があります。強い味を作るほど1発で強い印象を残せるけれど、食べたくなる頻度も落ちますよね。その分、商圏を広く設定して遠くからお客を呼ぼうと考えたりするわけです。一方で週に何度も訪れるような地域密着のお店は、食べ飽きないカラダに馴染む味にする必要があって、例えて言うと、
前者がこだわりのラーメン専門店、後者が街中華です。
日本の外食は、どんどん前者に寄って行った数十年ですが、いまここにきて若い人が経営する定食屋さんが増えつつあったり、街中華という言葉で後者を見直す動きが出てきていると感じます。
実はこのブログ「めし旅」も、幸せな日常食を探すという、後者に軸足を置いた活動なのです。
なぜそんな話を唐突に始めたかというと、
ネパール料理と食文化が、後者の日常食を体現していると感じたから。
正直、今回ご紹介したモモを日本に持っていっても、そのまま繁盛店になるとは思いません。でも、山に囲まれたネパールで獲れる作物、気候、毎日の生活。それを想像すると、
鶏や水牛のモモがどれだけ贅沢で、湯気朦々がどれだけ幸せか。
そしてカジャという軽食の扱いだからこそ、トゥクパの麺はいつまでもフニャフニャで、スープはシンプルな、ほっこり癒し系の味であり続けたのではないかと考えたのです。
そういう視点で味わうことで、ネパール料理の素敵さをより感じられたと思うのです。
チェーンレストランが殆ど無いネパールの外食業界ですが、少しずつ変化の気配も見られました。後日書くBajeko というチェーンができていたり、カフェで話した別のオジサンが、モモ屋さんのチェーン展開を目論んでいたり。あと10年もしたら、またガラリと状況が変わっていたりするのかもしれません。
次回予告
カトマンズで2泊した後は、エベレストを見られると有名な近郊の村ナガルコットへ。路線バスで簡単に行くことができるナガルコットですが、その乗り換え場所が観光地としても人気のバクタプル。乗り換えのついでという扱いになりがちですが、
実は世界遺産の古都バクタプル。
次回バクタプルの古い街並みと、名物の「王様のヨーグルト」です。
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