日本ではあまり知られていないフィリピン料理。日本語の情報も少ないし中には「あまり美味しくない」という声を聞くこともあります。そんなことない、
フィリピン料理は美味しいですよ!!!
と声を大にして言うべく、この記事を書き始めました。
とはいえ美味しいフィリピン料理にありつくには、それなりにコツが要るのも事実。旅行や英語留学でこれからフィリピンを訪ねる方に向けて、フィリピン料理が凡そどんなもので、どこでどういうものが食べられるかを何回かに分けてお伝えしていきます。
バリエーション豊富で奥が深いフィリピン食の魅力が、少しでも伝われば嬉しいです。
※フィリピンには2019年の5~8月の3ヶ月半滞在しました。マニラ近郊のサンペドロ市にある英語学校に3ヶ月、マニラとルソン島北部の地方巡りに半月強です。フィリピンは地方によって食文化が異なり深~い世界なので、これから書くことはあくまで一部分の概要であることをご理解ください。
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フィリピン料理の成り立ちと特徴
それではまず、全体像を掴むところから始めましょう。最初は歴史っぽいことが出てきたり、面倒くさいなぁと思われるかもしれませんが、フィリピン料理を楽しむキーポイントに繋がりますので、どうかサラッと読んでみてください。細かいことは省いてなるべく簡単に書いていきますね。
郷土料理の集合体であるフィリピン料理
ひと口にフィリピン言っても、ひとつの国としてまとまったのはスペインが植民地支配を経てから。その前はいくつもの小国が乱立して、沢山の部族がそれぞれの言語を話しているバラバラ状態だったのですね。
その後の長い独立に向けた闘争の中で、フィリピンという一つの国の意識が出来上がっていったのですが、今でもフィリピンには主要なものだけで10以上、実際は100を超える言語があると言われています。つまりフィリピンは、
それぞれの文化を持つ多くの地域の集合体であり、食文化もまた違う。
ということです。料理上手な人が多くグルメエリアと言われるパンパンガ州や、ソーセージやエンパナーダが自慢のイロコス地方。辛いもの好きのビコール地方など、それぞれ特色があって面白いのです。
宮廷料理のないボトムアップ型
前述のようにフィリピンには強大な統一王朝というものが無かったので、欧州やインド、中国のような宮廷料理というものがありません。
宮廷料理の有無で一番大きいのは、その料理が体系化されるかどうかということ。つまり宮廷料理では研究研鑽のもとに「この料理はこうあるべし」という見本ができて、師から弟子に受け継がれていったりする訳ですが、宮廷料理の無いボトムアップ型の料理文化ではそうはいきません。逆に言うと「これが正しい」と上から降りてくるものがない中で、気候や土地の食材、家族の健康を考えて受け継がれ愛されてきた家庭の味。
飾らず素朴で、人と一緒にワイワイ食べるとなお美味しい!
そんな所がフィリピン料理の良さだと思います。
フィリピン料理は異文化ミクスチャー!
食文化への影響という観点でフィリピンの歴史を見ると、3つのステージに分かれると思います。
|中国・インド・イスラム圏からの影響
大航海時代以前の東南アジアは、どの国も中国とインド〜イスラム圏の影響を受けていて、食文化も同様です。
中国料理の影響は今のフィリピンにもはっきりと残っていて、パンシット・カントンという中華麺を使った料理やシオマイ(焼売のこと)、ルンピア(春巻き)もよく食べられています。
インドを経由して海洋交易により伝わったイスラム圏の食文化の影響は、レモングラスやパンダンリーフなどのハーブ類、ココナッツミルクの多用が挙げられそうです。ただクミンやコリアンダーシードなどのカレーっぽいスパイスは、インドネシアやマレーシアに比べると少ないし辛い料理も多くない。その点、海洋交易の東の端っこというフィリピンの位置が関係している気がします。
|スペイン統治時代
スペイン統治時代になるとラードなどの油を使った料理法が広まり、アサドやアドボなど、スペイン語に起源する料理名が多くのこっています。バレンシアーナという、パエリアに似たお米料理なんかもありますね。
|アメリカ統治時代
スペインの後にはアメリカ統治時代が来るのですが、この影響は何と言ってもファストフード。マクドナルドが世界で唯一敗北を喫したと言われるフィリピンのファストフードチェーン「ジョリビー」は、フィリピン国内でもの凄い支持を集めています。
フィリピン料理らしさって何?
歴史を経て色々な食文化を取り入れているフィリピン料理ですが、面白いのは殆どの料理がフィリピン化していること。何でも取り入れて何でも日本風に作り変える、日本の食文化と似ていますね。そしてフィリピン化の傾向を理解すると、食文化の集合体であるフィリピン料理の凡そのイメージがつかめると思います。
|フィリピン料理は米に合う!
とにかくお米が大好きなフィリピン人。パンや麺を食べる時でさえ、食卓にはお米が用意されるという話からもその米好き度合いがわかるというものです。
これはフィリピンに限りませんが、多くの人が生活にあまり余裕がなく、生活の為に身体を動かすことが当たり前の社会では、少しのオカズで大量のお米を食べられるように、オカズの味付けは濃いめが基本。日本でも少し前まではそうでしたよね。
ここで重要なのは、味付けが濃いから料理自体がラフという訳ではないこと。
料理する人が下手だと、ただ塩っぱくてクドいだけの料理なる一方、腕のある人が作ると濃い味付けでも素材の旨味がしっかり生きて、その違いは歴然としています。
フィリピンでは塩・醤油・酢や砂糖、オイスターソース等の調味料に、ニンニク・生姜・玉ねぎ・胡椒は多くの料理で使います。味に深みを出すのにフィリピン版ナンプラーのパティス(Patis)や、小海老や魚の発酵調味料バゴーン(bagoon)を加えたり、料理に添えたりすることもあります。
|フィリピン人は酸味の使い方が上手!
フィリピン料理を食べて唸ったのは、フィリピンの人たちは酸味の使い方がとても上手だということ。酢だけでも何種類もあって、酢の名醸地ルソン島北部のイロコス地方へ行くとお土産に大量のスカン・イロカノ(イロコスの酢)を買って帰るフィリピン人の姿を見ることができます。
酢以外にも、シニガンを作るときにはタマリンド、料理によってはバトゥアン(batwan, batuan)という果物を使って酸味を加えたり、カラマンシーというスダチに似た柑橘も頻繁に使います。
食堂へ行くとどの店にも酢や醤油の味足し調味料が卓上に置かれているのですが、酢をベースに独自配合を施したオリジナルの酸っぱい調味料があり、それを加えると味が劇的に美味しくなったりするのです。
暑い国で香辛料や辛味を多用するのはよく見かけるけれど、酸味を使って料理のもちを良くしてバテづらい身体を作る。そんな所もフィリピン料理の特徴です。日本人には想像もつかないほど、フィリピンではバラエティ豊富で味の深い酸味を楽しむことができます。
|食べることが大好きなフィリピン人!
フィリピンにはメリエンダという習慣があり、1日に5食も食べると言われています。間食にお菓子や屋台の揚げ物などをつまんだり。実際に3ヶ月滞在した英語学校でも、フィリピン人先生はそれは良く食べていました。
そんな人たちが食べる料理がマズい訳はなく、興味をもってこちらから尋ねれば、きっと美味しいものをたくさん教えてくれる筈です。
フィリピン料理を楽しむにはコツがいる!
ここまでフィリピン料理の概要をポジティブに書いてきましたが、実はわたしたち外国人が美味しいフィリピン料理を現地で楽しもうとする際に、いくつかの落とし穴が潜んでいます。
これが一分の日本人にとって「フィリピン料理はあまり美味しくはない」と誤解を招く原因になっているように思うのですが、予め知っておくことで美味しいフィリピン料理に辿り着ける確率はぐっと上がるはずです!
こういうフードコートの店はとっても危険(笑)
|入る店は選びましょう!
残念ながらフィリピンは、飲食店によって味のレベルの差が大きくて、その振れ幅は日本の比ではありません。すごく美味しい店もあれば、中にはかなり残念な店も潜んでいます。
これは何も値段や立地の問題ではなくて、それなりの高級店でも全然美味しくない店もあれば、100円もしないで幸せになれる店もある。先ほど書いた料理体系の話が関係しているかもと考えているのですが、いずれにしても、
見かけた店に適当に飛び込むのは、勝率的に分が悪い。
さらには同じ店でも、その日や作る人によって味がブレるのは、ショッピングモール内の大きな店でもあるのがフィリピン・・・。
なので一番良いのは地元に住んでいる人に、長く通っている美味しい店を聞くこと。フレンドリーで美味しいものが大好きな人が多いフィリピンでは、2~3人に聞けばきっと良い情報が見つかるはずです。特に美味しいローカル食堂は、ネット情報はかなり少ないので直接人に教わるのが一番です。
ある程度値段のするレストランなら、ネット上に口コミが上がっているのでgoogle maps などで確認すると良いと思います。事前に情報が得られない場合は、並びの他店に比べて人が入っている店を選ぶ方がアタリは多いですが、商業施設のキレイな店なら安心と適当に入っても、さほど勝率は高くならないので注意が必要です。
|行く時間にも注意する
特にローカル食堂や屋台を利用するときには、訪う時間もかなり重要。次回以降改めて書きますが、カレンデリアやイータリーと呼ばれるフィリピンのローカル食堂は、基本作り置きで常温のまま。注文受けてから温め直しなどしないので、料理を作ってからの経過時間が衛生面はもちろん、味にも直結してきます。
同じ店でも開店に合わせて行ったら「あれ、こんなに美味しいの!?」と驚くこともあるので、わざわざ時間を合わせる価値はきっとありますよ。
|ファストフードと郷土料理を分けて考える
フィリピンへ行くと至る所に見つかる「ジョリビー」。言わずと知れたフィリピン最大のファストフードチェーンです。
フライドチキンを白米と食べたり、甘~いトマトソースのスパゲティがあったり。日本人の感覚からするとびっくりなものが大人気で体験としては面白いのですが、本来のフィリピン料理とは全く別系統なのです。
同様に、ショッピングモールだけで食事を済ますのももったいない。治安や衛生面が不安で、フィリピンのあちこちにある大型商業施設につい頼りたくなりますが、先ほど書いたように、
フィリピン料理の本質は、庶民の生活が育てた郷土料理。
町場の店でよりフィリピンらしさを感じる美味しいものを見つけられたら、きっとフィリピンがより身近に感じられますよ。
↓シシグやシニガンを手軽に作れるママシタの料理の素なんていうのもありますよ。予行演習か復習にどうぞ(笑)
次回予告
前段として少し堅い話も多かった今回ですが、次回ようやく具体的なフィリピン料理が登場します!切りがないほどたくさんあるフィリピン料理のなかから、代表的でお勧めのものを写真付きでたくさんご紹介しますね。
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