ニューオーリンズではガンボやジャンバラヤをはじめ名物料理が目白押し。それらの料理はフランス移民の文化が元になり、異文化ミックスされたクレオール料理とケイジャン料理に分類できるのですが、それだけじゃ済まないのがニューオーリンズの奥が深い所。なんとニューオーリンズ発祥で二日酔いに効く、
謎のアジア麺があるというのです!
その名もヤカメン/Ya-Ka-Mein。他にもニューオーリンズ式のかき氷スノーボール/Snowball も名物だというし、興味を唆られる情報がたくさん。郊外の店と町中のローカル店を巡ってきました!
※文中のレート換算はサンフランシスコで実際にセディナカードを使い調達したレートを四捨五入して、1ドル($)=142.9円で記載しています。その後レートは更に悪化していくんですけどね(泣)
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漢字で書くと牛肉麺。ニューオーリンズ名物のアジア麺ヤカメン/Ya-Ka-Mein とは?
ニューオーリンズ名物としてやや唐突感のあるアジア汁麺料理のヤカメン。二日酔いに効くと学会で発表されて以来、広く人気が出ているそうですが、それ以前から発祥の地ニューオーリンズでは深酒明けの定番として親しまれていたようです。アジア系移民が広めたというし、何百年も遡るものではない気がしますが、
不思議なことにこの料理のルーツは不明だそう。
アジア系という以外、それが中国なのか台湾なのか、はたまた韓国やベトナムなのかも謎なんだそうです。
こちらはNetflixの番組で紹介されていたRed Rooster というお店。郊外店なのでレンタカーを引っ張り出してきて店の前に路駐です。正面のORDER と書かれた窓で注文・支払いをして、出来たら呼ばれるテイクアウト方式。
こちらがメニュー表で、左上にヤカメンが載っていますね。牛、豚、牛豚ミックスに海老。4種類のヤカメンがあるようです。ヤカメンを漢字で書くと牛肉麺となるようで、当然ビーフを選ぶのが正統なのは分かっているのですが、
この日はどうしても海老の気分。
ラージライズに玉子を追加トッピングで14.21$(2031円)と、B級グルメでもアメリカの物価は容赦がありません。
テイクアウト専門店ではあるけれど、店の脇の屋根付きテラス席で食べることもできます。蓋付きの使い捨て容器をビニール袋に入れて渡されて、席に座りいそいそと開けてみると、
おっと玉子かぶった。
ちゃんと見てみるとメニューにも玉子入りって書いてありますもんね。気を取り直してまずはスープです。
黒っぽい見た目は醤油ベースだからだそうですが、啜ってみるとその見た目を裏切る事はなく、
なかなか刺激的な塩っぱさですよ(汗)
おそらく骨は使わず牛肉でとった出汁なんですかね、さほど旨味が強くないだけに醤油の塩気が目立つようです。あと一歩で “不味い” に踏み入るギリギリのラインで、千葉県の竹岡式ラーメンを思い出します。
竹岡式ラーメンは嫌いじゃないので、これもスープについては守備範囲内。問題は麺なのですよ。つるつるのストレート丸麺はですね、コシなど皆無で噛むと無抵抗で千切れていきます。いや、アジア圏ですらコシのある麺は珍しいのでそれは良いのですが、メニュー表の説明文をよく読むと、
スパゲッティと書いてあるんですが•••。
そう言われるとそんな気もしてきますね。
付属の赤いソースを入れると、酸味と辛味が加わり味が広がります。うん、これ入れた方がおいしいですね。汁麺料理を執拗に深掘る我々日本人には少し物足りないかもしれませんが、確かにこの汗が止まらない感じは二日酔いに効くかもしれません。でもアルコールが残った身体にこれだけ塩分を摂取すると、
いつか血管詰まりますよね⁉︎
余計なお世話だけど少し心配になったのでした。
ニューオーリンズ名物の派手ハデかき氷、スノーボール/Snowball。
アメリカでかき氷はシェイブド・アイスやスノー・コーンといいますが、ニューオーリンズではスノーボールと呼ばれ伝統的な名物だそう。真夏日が続く8月末、郊外へ足を伸ばしたついでに人気店へ行ってみました。
訪れたのはHansen's Sno-Bliz というお店。開店と同時に突撃です。
フルーツ系やミルク系など多種類のシロップに豊富なトッピング。自分の好きなようにカスタマイズできるのがニューオーリンズ式だそうですが、
いやもう種類多すぎてわけわからん。
クリームフレーバーだけで15種類もあるし、これを何種類も組み合わせてとなるとちょっとムリ。自力カスタマイズは早々に諦め、Googleマップに載っていた投稿写真から派手そうなやつを見せて、
こんな感じでお願いします!
すると「じゃあシロップを4種類チョイスしてね」と目の前のやつを説明してくれます。早口の英語で聞き取れた中から選んだのは、ストロベリー・アイスクリーム・ブルーベリー・サツマ。
サツマという名前に「もしや薩摩芋のことですか⁉︎」とときめいたのですが、後で調べたら、
実はこれ日本で一般的な温州みかんだそう。
なんとニューオーリンズでは、温州みかんが広く栽培されているようなのです。その名前から推測できる通り、おそらく16世紀の日本の鹿児島=薩摩から、布教に来ていたイエズス会修道士がヨーロッパに伝え、それがニューオーリンズに持ち込まれたのだろうとのこと。
カラフルなシロップをたっぷりかけ回し、
さらに氷をてんこ盛り。その上からまたシロップをかけて、トッピングを乗せたら完成です。
ほ〜いかにもアメリカっぽい見た目。スノーボールはフワフワで細かな氷も特徴だそうですが、確かに極薄削りで口溶けが良いですね。シロップも爽やかで中々においしいのですが、想定外は上に乗ってる白いの。クリームか何かだと思ってたのですが、
なんとこれはマシュマロですね⁉︎
粘度の高いクリーム状で、食感が絶妙に氷とのバランスを壊してくれます。手に付くとしつこくネバネバして、食べ切るのに苦戦しました。マシュマロは兎も角、高品質でおいしいスノーボール。お会計は17.5$(1072円)、変態的に進化した日本のかき氷と比べると懐かし系の部類ですが、酷暑のニューオーリンズで食べると美味しさもひとしおです。
郊外の高評価デリで、ガンボとナマズフライ。
ニューオーリンズ郊外で最後に訪ねたのがこちらのBroad & Banks Seafood というお店。観光客の来ないローカルな店のガンボを食べてみたくて、Googleマップをポチポチして探した高評価のお店です。
中へ入ると、食品や飲み物などがごちゃごちゃ並ぶグロッサリーストア。席はなくて、完全にテイクアウト専門店のデリ商売でした。奥にあるカウンターのショーケースに料理が並んでいます。
カウンター奥にはメニュー表も出ていますが、どうもショーケース内の料理と一致してない気がします。ガンボも載ってないですしね。口頭で訊くと勿論ガンボはあるそうで、サイズを訊かれて大きいのを。美味しそうに揚がっているナマズのフライと炒飯に、飲み物ももらって合計27.1$(3873円)でした。注文に従って盛られていくのを見ていると、
量はゆうゆう2人前以上(汗)
ちょっと頼みすぎでしたね•••。
宿に持って帰って温かい内にとさっそく食べてみます。まずはガンボですが、
むき海老、鶏もも、魚卵、肉団子、葱、米。丼1杯はあるカップに大量の具材がこれでもかと入っています。とろみのついたスープは滋味深く旨味が強い。少し塩気が強めですが、
それも飾らぬローカル感で好ましい。
ラージサイズは1人で食べるには大きすぎたけど、満足度は高かったです。
こちらも大ボリュームのナマズと炒飯。口コミによるとこのお店、おそらくアジア系移民の方がやっているようでして、だから炒飯もあるんですね。中華圏で食べるようなパラパラ感の強い炒飯が久しぶりで嬉しい。
ナマズの方はとてもしっとりした白身に、フライドチキンのようなスパイスの効いた衣で包まれています。
ほぉほぉ、これは美味しいなぁ。
ナマズフライはニューオーリンズに限らず南部中心に広く食べられている様子。この後のアメリカ旅でも度々食べることになるのですが、一度もハズレがなく美味しかったアメリカでの思い出の味です。
町中のローカル食堂で、フライドチキンとダーティーライス。
ローカル店の繋がりで、ニューオーリンズ中心部にあるローカル食堂も併せてご紹介しましょう。
Hobnobber's Variety Bar & Restaurant というこのお店、表に出ている袖看板は洒落ていますが一歩入ると全然雰囲気が違います。
店に繋がる通路からしてこんな感じ。高度に観光化したニューオーリンズという町では珍しく、圧倒的なローカル感を醸し出しています。
店内もキラキラ感が微塵もなく、来ているお客さんにも笑顔ひとつありません。
うーん、堪らない場末感。
こういう雰囲気好きなんですよね(笑)。店の人もぶっきらぼうだけど、迷っているとなんだかんだ世話を焼いてくれる控えめな優しさが素敵です。
奥のカウンターで注文して、隣で支払いをする仕組み。メニューはこれまでの町中店のような「ニューオーリンズ名物勢揃い」のようなものではなく、所謂アメリカ南部の定番料理が並ぶ質実剛健な品揃えです。
特に曜日替わりのメニューが充実していて、アメリカ基準だとかなりお値頃。木曜日のSouthern Fried Chicken とDirty Rice のセット11$(1572円)が食べたくて、日を合わせて訪問したのです。
ダーティーライス/Dirty Rice はケイジャン、もしくはクレオール料理の一種とされ、ホーリートリニティ(=三位一体:セロリ、玉葱、ピーマン)の他に、しばしば挽肉が用いられるスパイスご飯。一方この料理のルーツは1700年代の黒人奴隷に遡り、当時の白人が食べずに下げ渡された内臓などの肉を使って作られていたもの。従ってダーティーライスはケイジャン・クレオール料理の一角であると同時に、
アメリカ南部黒人の料理文化、ソウルフードでもあるというわけです。
Netflixの番組『Ugly Delicious』にも取り上げられていたのですが、黒人と特定の料理を結びつけ、偏見に満ちたステレオタイプとして扱ってきた黒歴史。その象徴がフライドチキンですが、実はダーティーライスもその枠に入るそうなのですね。
従ってこの組み合わせは、ニューオーリンズの料理文化と黒人のソウルフード、家庭的で暖かな思い出と差別と偏見の象徴。そういう込み入った背景を持つ、食文化の交差点のような一皿なのです。そんな訳で複雑な気持ちになりながら料理に手を伸ばしてみると、
うわっ、何このチキンめっちゃ美味しい!
肉は柔らかくジューシーで、それを包む控えめスパイスのサクサク薄衣。穏やかな味付けなのに薄味ではなくて、絶妙なバランスに支えられています。ダーティーライスも塩分控えめだけど、口の中でスパイスがじわじわ追いかけてくる感じ。料理の味も店の人の態度と同じくぶっきらぼうだけどジンワリ優しい、そんな感じのローカル飯なのでした。
次回はニューオーリンズ編の最終回。最後にニューオーリンズ式のサンドイッチ、ポーボーイ/Po-Boy をご紹介したいと思います。
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