更新が数日空いてしまいましたが、リアルタイムではバギオから北東へ5~6時間行ったバナウェから更に先、絶景の棚田と滝、それに昔ながらの農村風景を楽しめるバタッドへ行っていました。なにせ電波の届かない村なので、はからずもデジタル・デトックス!新鮮な気分でこれを書いています。
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勝手にフィリピン三大牛スープ認定!
これまで当ブログでは「やっぱりパレスは最強なんじゃないか(過去記事)」と、前のめりにパレスを推してまいりました。
それとタガイタイで食べたブラロ(過去記事)。これもかなり美味しかったけど、ここまでは、
フィリピンには、そういう美味しい料理がありますよ。
という位置づけでした。ところが、今回ビガンで食べた新たな牛スープ料理シナングラオ(Shinanglaw/Shinanglao)。強烈なインパクトを受けたこの料理が加わり、これだけ個性のある、しかも頭ひとつ抜けて美味しい牛スープが3つも揃ったということは、
つまり、牛スープはフィリピン料理の神髄といっても過言ではない!
のではないかと思ってしまうのです。そして、
パレス、ブラロ、シナングラオを勝手にフィリピン3大牛スープ料理と認定いたします(きっぱり)
うん。まだ他にも美味しい牛スープがありそうですが、まぁいっか。どなたか知ってたら教えてください!
フィリピンで牛スープ料理が発達しているとしたらこれは実は不思議なことで、もともと世界は、
農耕文化と牧畜文化の2つに分けられました。
フィリピンはもちろん農耕文化。なので乳製品は浸透していません。主にアジア圏に広がる稲作主圏の農耕民族にとって、牛や水牛は農作業の補助の為に飼うもので、使役に耐えなくなったときに食べるだけというのが通常。これはタイやラオスも同様です(日本も同様。四つ足を食べないという別の事情もありましたが)。フィリピンでも、肉と言えば鶏、豚が主体。
それなのに何故、こんなにも牛の扱いが上手になったのか。
それもスープに特化して。ということです。これが、スペイン料理やアメリカっぽい料理だったら分かり易いのですが、うーん何故だろう・・・。前置きが長くなりましたが、ようやくシナングラオについてです。
シナングラオの名店、FIRST Sinanglaoan
※前回の記事で料理名を「シナングラオアン」と書いてしまいましたが、料理名はシナングラオのようです。お詫びして訂正いたします。
このお店、前に書いたようにビガンのクラフトビールのお店CALLE BREWERYで教えて貰いました。「イロコスらしい料理が食べたいんだよね」と言ったら、真っ先に挙がったのがこの店。
「朝7時には開いてて、午後には売り切れることもあるから行くなら早めにね」
と聞いては放っておけません。早速翌朝8時頃に行ってみると、
ほぼ満席。
しかも、並んでいます。
多分、この時間ビガンで一番混んでいる店な気がする。
とはいえ回転は悪くないので、15分ほど待つと順番がきました。
まずは鍋の前で具材を選びます。奥の鍋が具材用、手前がスープ。写ってませんが、更に手前にもう一つ鍋があるのですが、何用かよく分からない。ともあれ、具材です。
地元の人は口頭で注文しているけど、こっちは何が何だかさっぱり。
でも心配いりません。鍋をのぞき込んだら、店のおかあさんが具材をいくつか持ち上げて、
これがいいか?こっちのがいい?
と見せてくれるので、気に入ったのを指差せば良いだけ。この店には滞在中2回行って、それぞれ違う部位を楽しみました。スープ(シナングラオ)を受け取ったら、その脇にあるライスをトレイに乗せて、会計へ。
シナングラオ60ペソ、ライス10ペソで計70ペソ(148円)。
味とボリュームからいうと、激安です!
初回入れてもらったのはこの部位。スジ肉と精肉が混ざってる所で、スープが染みてめちゃ旨です。色の濃いゼリーみいたいなのは、牛の血を固めたもの。
血を食べるなんて!
という忌避感さえクリアすれば、実はクセもなくて食べ易い。
2回目訪問時は、精肉の塊をチョイスしました。
ナイフで切るとこんな感じ。味はしっかり沁みているけど、うっすらピンクが残っている煮具合。内臓系の具材もたくさん種類があって、ローカルの人にはそっちの方が人気だったりするようです。
値段に対してこんなに肉入れていいの?
と驚くほどの量ですが、
ともあれこの料理の本領はスープです。
正直最初の数口は、漢方を連想する苦味のようなクセがあります。食べ進めるにつれ、それがヤミツキ要素になって
スプーンが止まりません。
その頃にはもうクセなんて感じなくなっていて、後引く牛の旨味だけを夢中で楽しんでいました。フィリピンのスープ料理は、どれもご飯によく合うようにできていますが、これもまさにドンピシャ!
当然、こうなります。極上牛スープぶっかけめし!
好みで加える卓上調味料も特徴的。右は酢に小さな唐辛子を漬け込んだもので、よく見るやつ。スカン・イロコスを使っている(と思います)ので、旨味がしっかりです。
問題は左の、見るからに怪しい調味料。
ヘドロのような色合いで、全く美味しそうに見えません。
一瞬、見なかったことにしようかと思ったけど、そういう訳にもいきません。
いきなりは危険なので、まずはスプーンにひと垂らし、味を見ると、
うぇぇ、苦ぃ!爽やかさのかけらもない苦みです。
なるほど、これはいかん。ご飯の上の肉にひとふりして「シナングラオとの相性だけ確認したら、視界の外に封印しよう」と思って食べてみると、
あれ?苦くない。
確かめるのに、もうひと口。
いや、ちょっとだけ苦いけど、、、、う、うまい!!!
なんでしょう。これは魔法ですか?シナングラオと混ざると、エグみも苦味も中和されて、風味に変わるみたい。あとで調べたところこの調味料は
胆汁のソースだそうです。
胆汁!胆汁って料理に使いますか?いま日本語で「胆汁 料理」とググってみたけど、まったく出てきません。
この想像を超えた胆汁ソースには脱帽。
料理は奥が深いですね。老若男女みんな大好きシナングラオ。おそらくこのFIRST Sinanglaoanは、
ビガンでも数少ない(もしくは唯一の)行列ができる店。
もしかしたら最初の数口で感じたクセが、ダメな人もいるかもですが、ビガンに行ったらぜひトライしていただきたい、驚き料理です。行くときは早めの時間に!
別の店でもシナングラオ!
別の日に行ったこちらのKUBOVILLE。カフェの店員さんに教わったイロコス料理が美味しいお店です。
値段は安めだけど、ローカル感が薄い店内なので、観光客も入り易い。
ど・ローカルな食堂はちょっと気後れする、という人でも大丈夫そう。
ここのメニューに
MOUTH WATERING ILOCANO CUISINE
というカテゴリを発見!「よだれが出ちゃうイロカノ料理」という意味で良いでしょう。そしてこのカテゴリ内にシナングラオがあり、更に他にも牛スープ料理が載っています。メニュー名と説明をそのまま書くと、
シナングラオ:SINANGLAO(Beef Innards Stew with KAMIAS) 130ペソ
カミアスというのは、カタバミ科の木で、酸味のある果肉を料理に使うようです。それを使った牛内臓煮込みという説明書き。もうひとつが、
ピナパイタン:PINAPAITAN(Beef Innards Stew/Bitter Beef Soup) 75ペソ
苦いスープって書いてありますね。うーん、気になる。こういう時は、
両方いっちゃえ!
です。
これがKUBOVILLEのシナングラオ。FIRST Sinanglaoanと違って、大きな具材は入ってません。牛内臓の色んな部位が、小さめにカットされて入っています。
スープはここのも、かなり美味しい!
でもFIRST Shinanglaoanには一歩及ばず。そしてもう1つのスープPINAPAITAN。
この色はヤバイ!
と思ったら案の定、胆汁を加えて作ったスープでした。もともとヤギで作るこの料理、ヤギの代用で牛バージョンもあるとのこと。前述した胆汁調味料が中和されるマジックは、このスープには通用しません。
スープそのものが胆汁フレーバー(恐)
結局スープ半分ほどを残してしまいました。味が理由で完食できなかったのはフィリピン初。
敗北感に包まれながら退散します。
とはいえこのお店、メニューが豊富で各種シログや一品料理もあるので、おすすめです。
最終日の朝この店で食べた、イロコス名物のサラミみたいなソーセージ、ロンガニーサ。
他とひと味ちがってややジューシーな仕上がり。
美味しかったです。
新たに発見した牛スープ料理、シナングラオ。カミアスという実を使うことで、パレスやブラロとは全く違う特徴を生みだしています。FIRST Shianglaoanのは、
絶対また食べたい、驚きの逸品!
世界にはまだまだ、想像を超えた美味しさが沢山あるんだろうなあ。これからの旅がますます楽しみになってきました!
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